
お金に困らないためには、お金を「上手に稼ぐ」・「減らさない工夫をする」・「賢く貯める」という3つの柱が重要であると、企業経営コンサルティングを行う、(株)プレジデンツビジョンの代表取締役・石原尚幸氏は指摘します。3つの柱を実践するうえで身につけるべき考え方、方法について著書『父が子に伝える 13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方』から、親と子どもの対話形式で、分かりやすく解説します。
モノの価値は“絶対的”ではなく“相対的”
ここにペットボトルの水がある。近所のコンビニで買えば100円で買えるよね。
この水を父さんが君に1万円で売るよといったらどうする?
「絶対、買わない」
だよね(笑)。では、もし君が、水が手に入らない砂漠の中で、三日三晩、飲まず食わずの状態だったとしたらどうだろう?
「ぜひ売ってほしい…」
そうなるよね(笑)。
父さんがもし同じ状態だったら、10万円出してでも買うかもしれない。
ようするに、モノについている値段は絶対的なものではなく、相対的なもの、つまり、その人が置かれた環境や価値観によって変わるものなんだ。
無駄な買い物をしないために有用な“2つの軸”
だから、単純にモノについている「値札」だけを見て、安いから買う、高いから買わないという判断はあまり意味がない。
値段はそのモノの価値、それも他人の価値観ではなく、君の価値観と合っているかどうかが一番大切だ。そのモノに価値があると思えば買えばいいし、価値がないと思えば買わないほうがいい。
「値段」ではなく「価値」で買い物ができるようになると、意味のないモノは買わなくなるし、買ってしまってから「いらなかったな…」なんてことはなくなる。
また、値段の高い安いは「時間軸」をもって考える必要もある。
たとえば、ここに、同じデザインの洋服が2つある。
1つは1万円、もう1つは2万円。
さて君ならどっちの洋服を買う?
「そんなの同じデザインなら安いほうがいいに決まっている。1万円の洋服を買う」
そうだよね。だけど、もう少し条件がある。
1万円の洋服は、安いけど1年しかもたない。一方、2万円の洋服は、3年は着ることができる。
さて、君ならどちらを選ぶだろう。
「えーっと…、2万円のほうかな」
そうだよね。1年着ただけでボロボロになってしまう服は、また来年も同じような服を買わないといけない。
一方で、値段は倍でも3年は持つ洋服であれば、毎年買う必要はない。単純に値段だけ比較すれば、安いほうを買えばいいけれど、1年当たりで計算すれば値段が倍でも3年持つ洋服のほうがいいよね。