現地に足を運んで初めて見えてくる「正解」
本件は、土地活用のしづらい物件ということで、徹底した現地調査なくして、アパート用地として売却するという最適な解決策を導き出すことはできませんでした。単独で現地を巡ること数回、役所へ足を運び解体業者と不動産をくまなく調べたり、アパートメーカーと現場を歩きながら建物イメージを固めるなど、現地まで足を運んで答え探しを続けていたからこその理想の売却でした。
売れない理由を一つひとつ消化していくことで、不動産は自ずと売れる物件へと変身していきます。その売れない確たる理由が明白でありながらも、それを消化するのに必要な正解が見えてこないとき、エージェントBは徹底して現場を歩くようにしています。このような方法論を編み出したのは、過去にある失敗を経験したからでした。
ファミリー向けの戸建て用地で立地が非常に優れていて値段もリーズナブルながら、なかなか買い手がつかない物件がありました。「こんなにいい物件がなぜ売れないのだろう」と不思議に思い、現地へ足を運んだところ、すぐに答えを見つけることができました。
物件の目の前は広い道路が通っていたのですが、そこまでの道のりに軽自動車がぎりぎり通れる程度の狭い道路があったのです。これでは戸建て1階のガレージにファミリーカーを車庫入れすることはできません。おそらく内見者が仲介担当者と現地へ足を運んだときも、この細い道の手前で車を停めて、歩いて現地まで向かったはずです。
これでは物件への印象も良くなく、大きな車を置けない家なんていらないと購入検討対象から外されてしまうのは当然の話でした。広告では車を複数台置ける車庫を売り込み材料としていましたが、完全な机上の空論だったわけです。
他にも、駅近物件と思っていたもののルート上に信号が多くて不便な物件や、坂道のアップダウンが激しく体感で倍以上の移動距離がある物件など、現地を歩いて初めて売れない理由に気づくケースに幾度となく出合ってきました。
これら売れない理由を解消するには、売り方のアプローチを変え、別の角度からメリットを見つけアピールしていくのが得策です。その明確な答えもまた綿密な現地調査によって見つけることができます。
ときには今回のように、販売するターゲットを変えて、あえて絞り込むことで売りにくさのハードルを跳び越え、期待以上の高値で売却できることもあります。
このような経験をいくつもしてきたからこそ、エージェントBは徹底的に現場主義を貫くようになりました。売れない理由を解消するヒントを見つけたいなら、まずは現地調査からです。
大西 倫加
さくら事務所 代表取締役社長
らくだ不動産株式会社 代表取締役社長
だいち災害リスク研究所 副所長
長嶋 修
さくら事務所 会長
らくだ不動産株式会社 会長