(※写真はイメージです/PIXTA)

コンサルタントである松本繁治氏の著書『壊れたニッポンを治す為の21の処方箋』より一部を抜粋・再編集し、日本人の“答えのない問題への対処能力”について見ていきます。

能力不足が如実に出た「コロナウイルスへの対応」

そしてこの能力不足が如実に出たのが今回のコロナウイルスへの対応である。

 

具体的には、人が移動する事で感染が増えたと云う情報がないのに、人の移動を制限しようとした。しかし一方で電車は通勤客で込み合っているのに、こちらの方は野放しである。また飲食によって感染したと云う情報が少ない(数値データが無い)のに飲食を再三制限した。

 

個人的には飲食によって感染する可能性は高いと思っているが、データ上はその傾向が表れていないので、飲食を止めろと云った判断は間違っている。せめて「情報は無いが、論理的には飲食時のマスクを外した会話が感染の原因である……」程度の発信はして欲しい。

 

また感染経路が不明な割合がかなり増えており、情報の取り方を見直す等の工夫が必要なのだが、見直しされた様子はなさそうである。本来であれば試行錯誤しながら改善していくのだが、一度決めた手法を変えないまま継続している。

 

その結果、不十分なデータを元に、憶測から国民に指示を出してくるため、国民にとって納得感のない依頼にしか聞こえない。

 

企業活動において、この“答えのない問題への対処能力の欠如”による悪影響が如実に表れたのが、90年代のバブル後の日本経済である。80年代までは、欧米の先進国に追いつき追い越せの時代で目標が明確であったため、企業活動に迷いがなかった。しかし80年代に欧米に肩を並べ、そして韓国等の中進国から目標とされる時代になってから、日本は迷走している。

 

欧米に追いついてからは、自分自身で新たな目標を設定する必要が有ったのだが、“答えの無い問題”だったため目標を定める事ができず、日本経済の迷走が始まった。90年代からGDPが殆ど伸びていない事実がその裏付けであろう。

 

 

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松本 繁治

ルイジアナ州立大学工学部卒、同大学大学院中退。

日米の製造メーカに勤務後、外資系IT企業や外資系コンサルティング企業にてコンサルタントとして10年以上の活動を行う。一時期、家業である製造メーカで経営を支援。

2009年以降は独立してコンサルティング活動を継続中。

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『壊れたニッポンを治す為の21の処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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