(※写真はイメージです/PIXTA)

コンサルタントである松本繁治氏の著書『壊れたニッポンを治す為の21の処方箋』より一部を抜粋・再編集し、日本人の“答えのない問題への対処能力”について見ていきます。

答えのない問題に対する対処能力の欠如

一億総中流と云われた時代までは、中高生の教育レベルは国際比較でもトップクラスだった事もあり、日本の教育は素晴らしいと思われていた。多分、高度成長期と1980年代までの日本経済を支えるのに適した人材を育てていたのだろう。

 

その学校教育だが、団塊の世代はその世代の人口が多く、一見競争が激しかったと思われがちではある。しかし60年代までの受験戦争は塾も未発達で、そして大学受験に関する情報も少なかった事もあり、今の受験戦争ほど厳しくなかったと想像している。

 

しかし1970年代に入り、大都市圏を中心に学習塾が台頭し始め、80年代には地方にも展開されていった。その過程で受験戦争も洗練されていき、受験に合格するための勉強に精通した子供が、受験に勝つ仕組みになってきた。

 

そして“記憶”する事と、算数・数学等の答えが決まっている演習問題を反復する事が、受験に勝つために重要になってきた。若い時に“記憶”する事や数学等の演習問題を“反復”する事は、若い時にしかできない事なので大事ではあるが、かなり行き過ぎた感がある。

 

結果、答えがある問題の解答を解く能力は長けているが、答えのない問題に直面すると対応できない人間が多くなっていると云われ始めている。そして様々な事象について分析する能力が不足している人間が多くなってきた。

 

コンサルタントとして長年仕事に携わっているが、コンサルタントの仕事の中に、企業や社会が抱える課題に対する原因を発見&整理し、解決策を提示する仕事がある。誰も答えを知らない問題を解くだけでなく、問題そのものを見つける仕事でもある。

 

一般的にコンサルタント業界では「“何故”を3回繰り返す」と教えているが、私が後輩を教える時は、何故を繰り返す回数は3回では不十分で、5回以上繰り返す様に指導する。しかしこの“何故”を繰り返せない人間が大変多く、問題の本質に辿り着く事ができない人間が大変多い。

 

仕事柄、海外のコンサルタントと仕事をする事があるのだが、海外のコンサルタントとは通じる話が、日本人のコンサルタントとは通じない事が多々ある。

 

社会や企業が抱える問題を解決するために、情報の分析を行う事がある。様々な情報を集め、色々な角度から分析を行う事で傾向を見極め、問題点を整理し提案する、などと云った事を行う。また情報を集める際に、どんな情報が必要なのかを考え、どの様に集めるかを検討する事もある。

 

この“分析”が間違っていると、自ずと解決策も間違ったモノになってしまう。

 

残念ながら、この問題の本質を見抜く力と分析能力、そして判断力が不足している人間が誠に多いのである。

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    ※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『壊れたニッポンを治す為の21の処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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