交渉は明るい雰囲気で進める
交渉ではお互いの利害の衝突もありますし、駆け引きもあります。誰しも多かれ少なかれ緊張するものです。
ただ、あまりに細かいところまで突き詰めて考えすぎると、自らが切羽詰まった雰囲気になってしまい、それが却って相手の警戒心をあおることになったりします。
すると相手もそれに応じて突き詰めて考えざるを得なくなり、交渉の場の雰囲気がギスギスとしたものになりかねません。すると明らかに交渉は難しくなります。
従って、譲ってもいいところは譲り、そのかわり自社にとって一番大事なポイントだけはがっちりと守り抜こうというぐらいの気持ちが丁度いいのです。
また、途中で冗談を言って笑いをとり場を和ませる、あるいは相手を自然な感じでさりげなく持ちあげる、などのことができるぐらい心に余裕を持つべきでしょう。
それにより相手の警戒心は下がり、ストレートに言いにくいことも言えたりするものです。
雰囲気がギスギスしているとなかなかそうはいきません。交渉相手は今後もお付き合いを続けていきたい相手である場合がほとんどです。相手へのリスペクトを持って交渉に当たるべきであるのは言うまでもありません。
従い、もちろん例外はありますが、ピリピリとした雰囲気で交渉するのは避けたいところです。できれば和気あいあいとした雰囲気を演出し、その中で交渉を進めるのが理想だと思います。
関西の問屋すじの面々
私の経験の中で特に印象的だったのは関西の飼料問屋すじの方々とのお付き合いでした。
この方々はお互いの利害がぶつかる交渉でも常にユーモアを絶やさない名人揃いでした。関東ではあまりない習慣でしたが、彼らは1対1でも、あるいは問屋すじの商売がたきが集まっても、よく飲み食いを共にしていました。
その中で誰かがボケれば必ず誰かが突っ込み、あるいは誰かを程よい加減にいじったりして笑いに昇華させます。そのような中でもお互いの腹を探り合い、情報のギブ&テイクもするという技を持ち合わせた人たちの集団でした。
お互いに電話のやり取りも物凄く頻繁にしていました。その中で
「何々県のあの問屋は資金繰りが危ないから売らん方がええで、気つけよ」
というように情報交換もするのです。つまり債権管理のための情報ネットワークという側面もあったのです。なんというか「商売がたき」でありながら、心情的には仲間でもあるのです。