(※写真はイメージです/PIXTA)

筆記試験なしで採用をする会社はあっても、面接なしで採用する会社はまずありません。それほど採用で重視されている面接ですが、面接はやり方次第では意外に信頼性の高くない選考手法だといいます。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

 

選考前の「面談」が候補者の入社意欲を高める

■面談は面接よりも気軽に情報交換できる場

 

本格的な選考を前に「まずはカジュアルな場で」と、「面談」のプロセスを組み込む会社が増えてきています。

 

面談とは会社と候補者が対等な立場で情報を交換し合い、相互に評価を行う場です。面接と同じようですが、面接と違って会社側は合否を判断しません。候補者が辞退しない限りは次のステップへ進みます(公式に合否が無いとはいえ、候補者が面談で話した内容は今後の選考に影響してくる可能性は残ります)。

 

面談が会社と候補者がお互いに評価し合うものであるのに対し、面接は基本的に会社が候補者を評価し、合否の判断を下す点に違いがあります。

 

近年の採用で主流になりつつある「スカウト型採用」の場合、面接の前に面談を挟むことはとても合理的です。

 

スカウト型採用は、特定のデータベースや社員のネットワークを通じて採用ターゲット人材を探し出し、会社から求職者へ積極的にアプローチする採用手法です(詳細は〈003〉参照)が、従来の求人広告やエージェントを活用した採用と異なり、求職者が自社に興味を持っていない段階で接触することが多くあります。

 

にもかかわらず、初回の接触が通常のフローと同様に会社主体の面接や会社説明会では、スカウトされたという「特別感」を壊すことになりかねません。そのため、いきなり選考に入る通常フローではなく、あくまで対等な立場で情報を交換し合い、自社を知ってもらう機会を作る面談を実施することが望ましいのです。

 

また、スカウト型採用に限らず選考の途中で面談を行う場合もあります。その目的は、候補者の入社する意向を高めるために、リサーチと動機付けを行うことです。面接では、候補者は会社からの質問に答えることがほとんどで、候補者から質問できる時間は長くても10分程度。また、会社側も評価を意識して情報を与えたいと考えにくい傾向もあります。そのため、一次面接、二次面接と連続して面接のみ進めているだけでは、候補者にとって魅力的な自社の情報が十分に集まらず、その結果として入社の意向が高まらないことがあります。

 

しかし、途中で面談を組み込んで対話することで、会社は候補者が入社する意向を高めるためのリサーチができます。その結果にもとづいて、会社は候補者一人ひとりに合わせた魅力的な情報を提供し、動機付けを強化することができるのです。

 

ポイント
•面談は、企業と候補者が対等な立場で相互に評価を行う場。
•スカウト型採用の場合、面談を挟むことが特に重要。
•選考の途中で面談を挟むことも入社意欲を高めるうえで効果的。

 

曽和 利光

株式会社人材研究所 代表取締役社長

 

※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

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