アメリカの医療費が高い“裏事情”
アメリカの医療費は高いですが、医療費が高くなることにも理由があります。そのへんの事情を少しみてみましょう。
オバマケアの登場には、アメリカの法外な医療費が大きな理由です。救急車を呼んで病院に運ばれるだけで数十万円かかるといわれています。民間の保険に加入していても、高額な医療費を払わされます。その最大の理由は、各医療機関が値段設定を自由にできるからです。ここが日本とは大きく異なります。
日本の医師の倍以上!超高収入の米医師
医療ビジネスによって、アメリカの医師の給料はほかの国に比べても圧倒的に高いのです。先進国の医師の平均年収は大体900万〜1,600万円くらいなのですが、アメリカの医師になると約2,200万円以上になります。これは先進国のなかでもっとも高く、日本の医師の倍以上といわれています。
日本は病気の種類や治療による料金を国が定めていますが、アメリカにはそのような固定価格はありません。ですから、病院側が自由に値段を設定しているのです。つまり個々の病院、医療が「ビジネス化」しているのです。
学費・研究費も高いアメリカ…その“ツケ”が医療費の高さに
アメリカの大学の学費は世界トップクラスの高さです。これは教育機関も医療機関と同じように「ビジネス化」していることが主な要因です。このビジネス化が値段設定における原点といっても過言ではありません。アメリカの大学の医学部の学費は超高額です。借金をしてでも教育を受ける人は珍しくありません。ですからその後のこともあり、必然的に高い給料ではないと、仕事としてやっていけないという事情があるのです。
アメリカの医療技術は世界でもトップクラスです。それを支えているのは、医療機関による研究投資が莫大な金額を投じているからです。いうまでもなく、その負担はかなりのものです。
新たな治療法、技術、医薬品の開発など、研究費にかける費用はとても大きく、その負担が個人の高い医療費に繋がっているといってもよいでしょう。つまり、医療開発費のツケが一般医療費に回って来ているといっても過言ではないのです。
「医療訴訟」に備えている側面も
アメリカのニュースや情報、あるいは映画やドラマなどで裁判のシーンがよくみられます。また、訴訟が起きたという情報をよく耳にすると思います。マイケル・ジャクソンが亡くなったときにも、いろいろと見受けられました。ご存知のとおり、アメリカは訴訟社会なのです。
日本とは比べものにならないくらい、アメリカでは頻繁に人を訴えます。なかには、「えっ、こんなことで」というようなものもあります。当然のごとく医療の現場でも、このようなことが頻繁に起こり、命に関わることですから、訴訟になったときに発生する金額も大変なものです。
万が一の医療ミスなどに備えて、「弁護士費用」を考慮した高い医療費を取っているといっても過言ではありません。医師側は訴訟が怖いのです。ですから、過剰なサービスや治療を施して、訴訟の発生を避けていることも珍しくないのです。訴訟を起こされて廃業した医師も少なくありません。医師の方々も必死なのです。
そして、アメリカでは保険は必須です。万が一に備えておくことは大切です。なにかあった場合は、考えられない金額を請求されることが珍しくありません。ビジネスはもちろん、旅行に行く際も保険に入っておくことをおすすめします。
鈴木 幹啓
すずきこどもクリニック院長
〈オンライン診療に新たな革命/ラディアル型オンライン診療システムとは?〉
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