(※画像はイメージです/PIXTA)

自民党の茂木敏充幹事長は2022年10月24日、出産した場合に健康保険から受け取れる「出産育児一時金」の支給額を、来年度から、現行の42万円に5万円引き上げて47万円とする考えを明らかにしました。出産費用の上昇を加味したものです。しかし、子育て支援・少子化対策を全体としてみると、有効性にはなお課題が残ります。問題点について解説します。

ちぐはぐな政府の子育て支援・少子化対策

出産育児一時金の引き上げには、2023年からの実施が見込まれている10万円のクーポン式の「出産準備金」と連動させ、出産と初期の育児の給付を増額する意図がみてとれます。

 

しかし、政府の子育て支援・少子化対策を全体としてみると、本気で出産・子育ての不安を根本的に解消するつもりがあるのか、単なる「バラマキ」に終わってしまうのではないかとの疑念を抱かざるをえません。すぐ思いつくだけでも、以下のような問題点が指摘できます。

 

◆児童手当の所得制限の強化

たとえば、2022年10月から、児童手当の所得制限が強化されています。また、所得制限について「世帯ごと」ではなく「世帯主」の所得で判断する点に手をつけていないことも疑問が残ります。

 

なお、児童手当の所得制限の問題点については2022年9月26日の記事「児童手当の所得制限でなぜ『年収1,800万円』世帯が優遇されるのか?」をご覧ください。

 

◆高騰する教育費への対策が不十分

また、経済が停滞し所得が伸びないなか、高騰する教育費に対応し、教育を受ける機会の均等をはかる政策も求められます。

 

出産・子育てで費用がかかるのは、出産と初期の育児だけの問題ではありません。

 

◆働きながら育児をする環境の整備が不十分

さらに、少子化の根本原因は、そもそも、将来の生活不安と、働きながら育児をする環境の整備が不十分だということにあります。

 

とりわけ、育児休業制度のさらなる拡充は急務です。これまで、女性が育児のため勤務先を退職しなければならなかったり、男性の育児休業の取得が困難だったりといった事態が、なかなか改善されてきませんでした。

 

2022年4月から育児休業制度が大幅に改定されていますが、非協力的な事業者や法令に違反した事業者へのペナルティがごく軽微であるなど、実効性に問題があり、果たして本腰を入れて取り組むつもりがあるのか、疑問を抱かざるを得ません。

 

政府・与党には、出産一時金の引き上げや出産準備金の支給といった一時的・対症療法的な対応に終始することなく、総合的・中長期的な視野に立った取り組みが求められます。

 

 

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