(※画像はイメージです/PIXTA)

児童手当について、2022年10月給付分から、所得制限がさらに強化されます。しかし、これに対し、高額所得世帯をかえって優遇する結果になりかねず不公平ではないかという指摘があります。そこで、所得制限の内容がどのようなものか、どんな問題点があるのか、具体的なケースを交えながら解説します。

2022年10月からの児童手当の新たな所得制限とは

まず、2022年10月給付分(2022年6月~9月分)以降の児童手当の所得制限がどのようなものなのか、説明します。

 

児童手当は、中学校3年生以下の児童を養育している人に支給されるものです。

 

支給額は【図表1】の通りです。

 

内閣府HP「児童手当制度のご案内」より
【図表1】児童手当の支給額 内閣府HP「児童手当制度のご案内」より

 

では、この児童手当の所得制限の制度とはどのようなものでしょうか。

 

特徴的なのは、世帯主の所得に着目していることです。

 

世帯主が扶養する親族の数に応じて「所得制限限度額」が定められています(【図表2】)。

 

内閣府HP「児童手当制度のご案内」より
【図表2】児童手当の所得制限限度額 内閣府HP「児童手当制度のご案内」より

 

また、世帯主の所得が所得制限限度額以上になると、児童手当を受け取ることはできませんが、それでも「所得制限上限額」未満であれば、「特例給付」として1ヵ月あたり一律5,000円を受け取ることができました。

 

しかし、この「特例給付」が、年収が一定額に達した場合は2022年10月給付分から廃止されるのです(【図表3】)。

 

内閣府HP「児童手当制度のご案内」より
【図表3】児童手当の特例給付の所得制限上限額 内閣府HP「児童手当制度のご案内」より

 

10月からの所得制限の強化とは、この特例給付制度に上限(所得制限限度額未満)が設けられることをさします。

 

たとえば、扶養の配偶者1人と小学生の子2人がいるケースについてみてみましょう。

 

「扶養親族3人」に該当するので、年収960万円未満であれば児童手当2万円を受け取ることができます。

 

これに対し、年収960万円以上の場合でも、従来は、特例給付として一律5,000円を受け取れることができました。

 

しかし、2022年10月給付分からは、年収1,200万円以上だと特例給付を受け取ることができません。

 

なお、児童手当の所得制限限度額についてよく「年収960万円」、特例給付の所得制限上限額について「年収1,200万円」という数字が挙げられますが、これは、あくまでも「世帯主+配偶者+子ども2人」という典型的なケースを想定したものにすぎません。実際には所得制限限度額は世帯の人数により異なります。

 

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