兄による「相続財産の使い込み」が発覚…
相続財産について、相続人のうちの1名が生前に使い込みをしていたことが発覚した場合、どのような対処法があるのでしょうか? ここでは、「相続財産の生前の使い込み」について、事例を用いて解説いたします。
事例~花子さんのケース~
被相続人:花子さん
相続人:一郎さん・次郎さん
花子さんの相続財産:自宅2,500万円/預貯金500万円
■花子さんの生前の状況
2020.1.1
花子さん(当時85歳)のご主人が亡くなる→花子さんは、預貯金3,000万円を相続
2020.1.1~2021.1.1
花子さんの財産は一郎さんが管理
2021.1.1
花子さん(86歳)の相続発生→花子さんの預貯金は500万円となっていた
■次郎さんの主張
ご高齢の花子さんが亡くなる直前に多額の現金を使用するとは考えにくい。一郎さんが花子さんの財産を使い込んだのではないか?
■一郎さんの反論
花子さんの介護等に費用が掛かったそのため、花子さんの預貯金からの支出が増えた。
こちらのケースで、次郎さんが一郎さんに対し、相続財産の生前の使い込みについて請求するためには、どうすればよいのでしょうか? 以下では、資料の収集方法や、請求方法を説明いたします。
使い込みを裏付ける証拠として使えるものは?
上記のケースで、次郎さんが一郎さんに生前の相続財産の使い込みについて請求するためには、まず一郎さんが花子さんの相続財産を引き出し、使い込んだことを裏付ける証拠を収集することが必要となります。
使い込みに関する証拠の例
・花子さんの通帳の履歴や払戻請求書等
・花子さんの要介護認定に関する資料や診断書等の資料
・花子さんの生活費に関する資料
・花子さんの生前に残した書面 など
まずは花子さんの通帳の履歴を取得して、不正な引き出しがないか確認しましょう。一郎さん名義の通帳への振込みがあったり、不自然に多額が引き出されていたりといった場合などは、一郎さんによる使い込みを証明するための有力な証拠となり得ます。
反対に、保険金の引き落としや税金の支払等、使途が明確で、花子さんのための出金であることが認められる場合は、不正な引き出しとはいえないでしょう。また、花子さん自身が、そもそも引き出しを行える状況にあったか否かという点も重要となります。
花子さんが、要介護認定を受けていたり、入院をしていたりといったなかでは、引き出しを自ら行うことができるはずがないですから、そうであるとすれば、財産を管理していた一郎さんが怪しいのではないかという方向に考えることができます。そのため、花子さんの要介護認定に関する資料や、診断書等の資料も、重要な証拠となります。花子さんの生前の生活において、どのくらい費用が掛かっていたかという点も主張するとよいでしょう。
たとえば、花子さんが亡くなる前は施設に入所していたという場合であれば、施設の費用がどの程度掛かかっていたかということが、重要となります。施設の費用以外に、数十万円ないし数百万円の支出があれば、なんのために使ったのか、一郎さんに追及しましょう。
花子さんの生前の証言も重要です。もし花子さん自身が、一郎さんによる使い込みを知っていたような場合で、それが、手紙やメモに残っているようであれば、それらは証拠となり得ます。そのため、花子さんが亡くなった際、まずは遺言書が残っていないかを確認することは重要ですが、それ以外になにか書面の形で残していたものがないかという点も確認するとよいでしょう。
証拠の収集方法やどの証拠が有効なのか分からない場合は、早めに弁護士に相談をして、証拠の収集からサポートしてもらうことをおすすめします。
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