(※写真はイメージです/PIXTA)

敗戦後、焼け野原となった日本が奇跡的な復興を遂げ、すさまじい勢いで経済発展を遂げたのはよく知られています。しかしその後は、バブル経済からバブル崩壊を経て、長い景気低迷に入り、いまなお苦しい状況が続いています。それら一連の流れを読み解きつつ、高度成長期と現在にどのような違いが見られるのか比較してみましょう。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

将来を楽観視し、貯蓄に励む人が少なかった

高度成長期は、「将来はいまより豊かになれる」と考えている人が多かったので、将来不安から倹約して貯蓄に励むという人は多くありませんでした。貯蓄率は高かったですが、それは多くの現役世代が少しだけ老後のために貯蓄をしている一方で、老後資金を取り崩して生活する高齢者は少数だったからでしょう。住宅を購入する等の前向きな理由の貯蓄も多かったと思います。

 

最近は、人々の将来不安が深刻で、節約して老後資金を貯める人が多いので、需要が盛り上がらず、景気がよくなりません。景気が悪いと設備投資をする企業が少なく、最新式の設備で効率よく生産する企業が増えないので、日本経済全体としての生産性が向上しないのです。

バブル崩壊後「ミニマル&ゆとり重視」の価値観に変化

バブル崩壊以降は、人々の価値観が変化したようで、たとえばデートの時にかっこいい車でドライブするより、アパートでコンビニ弁当を食べながらゲームをすることを選択する若者が増えているようです。これでは景気はよくなりませんね。

 

供給側としては、企業戦士たちが身を粉にして根性で仕事を成し遂げるという昭和時代のイメージから、ゆとり教育世代がワークライフバランスを追求するようになった、ということがあるのかもしれません。ただし、この点については、いまでも過酷な労働条件に耐えている人も多いようなので、なんともいえませんが。

 

もうひとつ、高度成長期は企業が若かったので、老害が無かった、ということもいえるかもしれません。成功体験を持った高齢者が長期間権力を持ち続けると、世の中の変化に企業が取り残されてしまう、ということも起こりそうですから。

 

今回は以上です。なお、本稿はわかりやすさを優先していますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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