3.コアCPI上昇率は10月には3%台半ばへ
コアCPI上昇率は消費税率引き上げの影響を除くと、約30年ぶりの3%となった。10月は食料の値上げの動きが一段と加速する中、携帯電話通信料の値下げの影響一巡、火災・地震保険料の引き上げなどが重なることにより、コアCPIは3%台半ばまで伸びが大きく高まる可能性が高い。
原油価格(ドバイ)は、世界経済の減速懸念の高まりなどから、1バレル=90ドル程度まで低下しているが、燃料油価格激変緩和措置(石油元売り会社への補助金)によってガソリン、灯油価格等が抑制されているため、市況の下落がエネルギー価格の低下に直結しない構造となっている。エネルギー価格は22年3月の前年比20.8%をピークに伸びは鈍化しているが、22年度内は前年比で10%台の高い伸びが続くだろう。
エネルギー価格の伸び率が鈍化する一方、食料(生鮮食品を除く)の伸びがさらに高まること、円安によるコスト増を価格転嫁する動きが食料以外の幅広い品目に及ぶことから、コアCPI上昇率は、22年度中は3%台前半から半ばで推移することが予想される。 ただし、足もとの物価上昇は、原材料価格高騰に伴う財価格の大幅上昇によるもので、賃金との連動性が高いサービス価格はほとんど上がっていない*1。
コスト増を価格転嫁する形での物価上昇はしばらく続きそうだが、賃金の伸び悩みが続く中ではサービス価格の大幅上昇は見込めない。現時点では、22年中に円安傾向に歯止めがかかること、国際商品市況が落ち着いた状態が続くことを前提として、コアCPI上昇率は23年度入り後には2%台半ばへと鈍化することを予想している*2。
*1:現在と約30年前の物価上昇の中身についての比較は、weeklyエコノミスト・レター2022-10-14「消費者物価上昇率は約30年ぶりの3%-当時と大きく異なる物価上昇の中身」をご参照ください
*2:「全国旅行支援」が消費者物価指数に反映された場合や、経済対策における物価高対策の内容によっては、コアCPIが押し下げられる可能性があるが、この見通しでは織り込んでいない。