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ドル高になって何が起きようとしているのか?

ドル高によって、何が起きようとしているのかを考えてみましょう。

 

まず、米国国内のインフレに抑制圧力がかかります。ドル高を招いている利上げ自体が総需要を抑制しますが、ドル高自体は純輸出を減らすことでGDPを減少させます。

 

また、①金利が付くお金(ドル)の価値と、②金利が付かない国際商品(ゴールドや原油、銅など)の価値を考えると、利上げが総需要を抑制していることもありますが、金利が付くお金に資金がシフトして、国際商品価格が下落し、物価を抑制します。

 

あわせて、ドル高によって、新興国から米国への資本回帰が起きれば、新興国はつらいですが、金融市場はリスクオフになり、景気が抑制され、物価は安定に向かいます。

 

このように、ドル高には米国の景気と物価を抑制する働きがあります。

 

仮に、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げをしてドル高を解消すると、米国ではインフレ圧力が収まらず、米連邦準備制度理事会(FRB)はふたたび利上げを迫られ、それが再びドル高に戻ってきて……と堂々巡りになります。

 

加えて、米国が利下げをしても、債券市場はインフレ懸念で米国債を売り、市場金利は上昇するでしょう。

 

仮に、日銀が利上げをして円安(ドル高?)を解消すると、日本は(円高で景気が低迷するとともに、輸入物価は鈍化しますから)ふたたびディスインフレ基調になり、日銀は利下げを迫られ、それが再び円安に戻ってきて……と堂々巡りになります。

 

加えて、日本が利上げしても、債券市場は日本のデフレを懸念して日本国債を買い、市場金利は低下するでしょう。

 

つまり、金融政策で、ドル高に持っていこうとしても、円安に持っていこうとしても無理で、市場メカニズムに抗うことは困難です。 現状のドル高は、米国が景気後退に向かうなどして、インフレ圧力が収まるまで変えられないでしょう。

 

 

重見 吉徳

フィデリティ投信株式会社

マクロストラテジスト
 

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