還暦筋トレーニーが解説「若いエリートが筋トレにハマる理由」

「変わる」ことと「変える」こと⑤

還暦筋トレーニーが解説「若いエリートが筋トレにハマる理由」
(※写真はイメージです/PIXTA)

なぜ最近の若いエリート君たちは揃って筋トレにハマるのでしょうか。還暦から筋トレを始めた城アラキ氏が著書『負けない筋トレ 還暦から筋トレにハマったら、「肉体」と「人生」が激変した!』(ブックマン社)で解説します。

最近の若いエリートは、なぜ筋トレにハマるのか?

■若いIT系君たちが筋トレにハマる理由

 

若い頃といえば、こんなこともあった。

 

20年以上前のことだ。今ほどワインも定着していなかったから、素人なのにワインスクールに通う人は少し変わり者だった。趣味でソムリエ資格を目指したり、フランスのワイン畑を旅行したり、クリスティーズでボトルを落札したりと、ちょっと金に余裕のあるワインオタクが多かった(その極端なキャラクターは漫画でも面白おかしく、さんざん使わせてもらったけど)。

 

そんなワインスクールに通っている頃、講義が終わって、何人かで飲み会に行ったときのことだ。ニューヨークに本社がある外資系金融会社に勤めている20代後半の若い男の子が、私がワイン漫画の原作を書いていると知って、開口いちばんこう訊いてきた。

 

「年収いくらですか?」

 

「はっ?」と、思わず何かの聞き間違いかと思ったが、そうでもないらしい。

 

「おいガキ。ニューヨークじゃ知らねぇが、日本じゃ初対面の年長者にそういう失礼なことを訊くバカは、躾のためにケツを蹴飛ばしていいことになってンだぜ」と、啖呵を切りたかったが、実際は「いや、そんな、とても人様にいえるような額じゃ……」と、ウニャウニャと誤魔化した。

 

それにしても、日本の青少年は、いつからこれほど礼儀知らずのおバカになったのかと、オジサンは呆れてしまったもんだ。

 

逆に言うなら、20年前はまだ、若くして大金を稼ぐことを若者が何の迷いも不安もなく、鼻息荒く自慢ができたのだ。それが「成功」と素直に信じられたのだろう。

 

あれから20年、似たようなワイン会でやはり海外生活をしている若いIT系起業家の男の子と飲んだ。そこに20年の歳月を感じてしまった。

 

20年前の失礼な若者と大違いで、このエリート君、礼儀正しくいつも笑顔を絶やさない。何より目を引いたのがシャツの上からも目立つその大胸筋だった。前腕に浮き上がる血管を見ても体脂肪率も10%前後だろう。オヤジのように意識してしっかり骨盤を立て、頑張って腹筋を引き締めて座ってないとお腹がたるんで見えるなんてこともない。

 

ワインの話などどうでもいい。「トレーニングは三分割30? プロテインは日に何回? やっぱりアメリカでも胸肉とブロッコリーが主食なの?」と、オヤジの初心者筋トレ話に迷惑顔もせず、ちゃんと余裕の笑顔で付き合ってくれる。いい奴だ。

 

多民族国家のアメリカだと、見た目そのものがビジネスツールの大事な一部になるという。きちんと体を鍛えてないと自己管理ができないとみなされ、信用されないそうだ。だからみんな中学生くらいから日常生活に筋トレがある。おやおや大変だ。

 

才能と優しささえあれば、どんなおデブでも正当に評価したいオジサンとしては、それはそれで少々面倒だなと思ってしまった。でも、この若き成功者の彼が筋トレに熱中するのは、それだけの理由ではないだろうなとも気づいていた。

 

なぜ最近の若いエリート君たちは揃って筋トレにハマるのか。それは若いエリート君だけではなかった。

 

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次ページ最後に残るのは自分の肉体の見せびらかし

本連載は、城アラキ氏の著書『負けない筋トレ 還暦から筋トレにハマったら、「肉体」と「人生」が激変した!』(ブックマン社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

負けない筋トレ

負けない筋トレ

城 アラキ

ブックマン社

『ソムリエ』『バーテンダー』など、数々のお酒にまつわる傑作漫画の原作を手掛けてきた著者は自他ともに認める酒呑みであり、美食家だ。3日に一度は暴飲暴食。仕事柄、1日の歩数が500歩なんてザラだった。運動もしない日々を…

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