(※画像はイメージです/PIXTA)

賃金が上がらない国……そう、たびたび揶揄され、賃上げに消極的な日本企業は、批判の対象となっています。それにしても、なぜ日本企業は賃金をあげることができないのでしょうか。その理由を紐解いていきましょう。

なぜ日本だけが「賃金停滞」に陥ったのか?

なぜここまで日本企業は賃金をあげることができなかったのでしょうか。よく言われるのが、日本企業の労働生産性の低さです。同じくOECDの資料から、「1人当たりの労働生産性」をみていくと、トップは「アイルランド」で22万6,616米ドル。「ルクセンブルク」「ノルウェー」「米国」「ベルギー」と続きます。

 

では「日本」はというと、7万9,031米ドルで、対象47ヵ国中30位。お隣の「韓国」は23位、ひとつ上の順位は「ポーランド」、ひとつ下は「クロアチア」。先進7ヵ国で比べてみても、「日本」は圧倒的最下位です。

 

ただ昔から日本は労働生産性の高い国ではありませんでした。世界でも日本が栄華を誇っていた1990年、この時の日本の1人当たりの労働生産性は3万8,825米ドルで、対象32ヵ国中15位、先進7ヵ国では6位でした(ちなみに当時の7位は「イギリス」)。

 

戦後、日本の人口は大きく伸び、1967年に1億人を突破。豊富な労働力を背景に、労働集約型のビジネスで豊かになっていきました。「効率」で劣っても「数」「量」でカバーしてきたわけです。しかしバブル崩壊、深刻な不良債権……日本経済が大きく後退するなか、世界ではIT化が一気に進みます。もちろん、日本でもその流れはありましたが、世界と比べると、ITに対しての投資は消極的。世界はIITの力で効率化を進め、労働生産性を高め、賃金に反映させていきました。日本は完全にこの流れに乗ることができなかったわけです。

 

完全に世界から置いてかれた日本。そんな状況下、「DX推進」が強くいわれています。経済産業省では、DXを以下の通り定義しています。

 

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

出所:経済産業省『DX推進ガイドライン』より

 

そして経産省は、このDXの推進に躍起になっているのです。そこでキーワードになるのが「2025年の壁」。経産省のDXレポート内で提起されたもので、DXが実現しなかった場合、既存システムのブラックボックス化などにより、最大で年12兆円もの経済損失が生じるとされています。当然、DXが実現できなかった企業も大きな損失を被ることになるのです。

 

一方で、2025年の壁を克服できれば、日本の実質GDPは130兆円以上押し上げることができるといいます。企業としては、さらなる成長と賃金アップで従業員に還元できるチャンスだといえるでしょう。

 

2025年まであとわずか。DX実現に向けてスピード感もって対応することが、企業には求められています。

 

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