(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年に入り、中小企業の倒産件数は上昇傾向にあります。コロナ支援がひと段落し、息切れや諦めが起きている、というのがひとつの要因。昨今の物価高、さらにコロナ禍で加速した「デジタル化」も企業経営をひっ迫させているとか。みていきましょう。

コロナ禍「中小企業倒産減少」のほうが異常だった

中小企業庁が毎月発表している『倒産状況』によると、中小企業の倒産件数は、2022年8月で492社で、前年同月比5.6%の増加。負債総額は1,145億円でした。今年に入り、前年同月比を下回ったのは、1月(4.6%減)と3月(6.5%減)だけで、ほかはすべて上回っています。

 

また業種別にみていくと、最も多いのが飲食業や宿泊業を含む「サービス業(その他、一次産業含む)」で1,361社。「建設業」「卸売業」「小売業」「製造業」と続きます。

 

【2022年「中小企業の倒産件数」】

1月:452(△4.6%)

2月:459(2.9%)

3月:593(△6.5%)

4月:486(1.9%)

5月:524(11.0%)

6月:546(0.9%)

7月:494(3.8%)

8月:492(5.6%)

 

【2022年「中小企業の倒産件数」(業種別)】

サービス業・その他(一次産業含む):1,361社

建設業:763社

卸売業:522社

小売業:442社

製造業:437社

運輸業:211社

情報通信業:158社

不動産:139社

金融・保険:13社

 

出所:中小企業庁『倒産状況』、資料「東京商工リサーチ(http://www.tsr-net.co.jp/)調べ

 

2020年、突如として世界を襲った新型コロナウイルス感染症。経営環境が増すなか、政府は中小企業に対して、総額56兆円、申請件数200万件以上の企業支援を行いました。その結果、通常であれば資金繰りの厳しい企業も借入を行うことができ、経営は安定。コロナ禍という異常事態にも関わらず、倒産件数は減少しました。

 

2020年7月から2021年4月の10ヵ月間、2021年6月から2022年1月にかけての8ヵ月間は前年同月比を下回るばかりか、20〜30%近くも減少という、ある意味、異常事態となっていました。倒産件数が上向いている昨今、「息切れ倒産」とか「諦め倒産」とかさまざまに言われていますが、むしろ資金繰りが厳しい多くの企業が国のサポートによって延命していただけであって、倒産件数の増加は、コロナ禍からの回復の表れという声も。むしろ深刻なのは、止まることのない物価高。帝国データバンクの調べでは、原油や燃料、原材料などの物価高の影響での倒産が2022年度上半期で159件で、前例のない水準で推移していきそうとしています。

 

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