世界主要国で「日本だけが賃金減」という現実
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、 基本給・職務手当、通勤手当、住宅手当、家族手当などを含む「所定内給与額」は平均30万7,400円(男女計、学歴計)。前年となる2020年は平均30万7,700円だったので、全体としては若干下がったことになります。新型コロナウイルス感染症による行動制限、それに伴う経済活動の停滞の影響が、コロナ禍2年目にジワリと出てきたのかもしれません。
頑張って賃金水準を保つ……そんな血の滲むような思いをしている経営者も多いことでしょう。しかし、世界的にみて日本は「賃金の上がらない国」という、ありがたくない烙印をおされています。
前出、厚労省の調査で、所定内給与の推移をみてみましょう。1980年代、日本人の賃金は平均4.2%程度の伸び率を誇っていました。バブルが崩壊した1990年代は大きく上昇率を下げ、平均1.7%程度の伸びに。そして1990年代後半に勃発した不良債権問題で、2000年代にかけて日本の経済はボロボロに。賃金も下落という、戦後日本が初めて経験する事態に陥りました。2010年代はアベノミクスなどで経済が上向きになっていたこともあり、賃金の下落はそうなくなりましたが、以前のような伸びは一切なくなったといっていいでしょう。
賃金が上がらないこの状況、世界的にみてどうなのでしょうか。OECDの資料で賃金の伸び率をみていくと、トップは「エストニア」で1995年の賃金を100とした際、2021年の賃金は1,071.4%。以降「リトアニア」「ハンガリー」「メキシコ」「ポーランド」と続きます。それに対して「日本」は96.9%で、対象国33ヵ国中33位と最下位。このポジション、1998年以降の定位置になっています。
先進7ヵ国に限定すると、トップは「米国」で240.6%。「英国」221.0%、「カナダ」202.8%、「フランス」173.1%、「ドイツ」168.2%、「イタリア」166.5%。日本の停滞ぶりが浮き彫りになります。