(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 16,914.58 pt(+1.82%)
中国本土株指数 5,756.31 pt(+2.18%)
レッドチップ指数 3,325.85 pt(+1.20%)
売買代金997億6百万HK$(前日957億6万HK$)

一時1ドル=149.10円まで下落。米ドル一強は継続

ドル円は夜間に再び下落し32年ぶりの安値を更新、一時1ドル=149.10円まで下落した。この日も政府や日銀から円安をけん制する発言が相次ぎ、介入警戒感から上値を追う動きは限られたが、連日で円売りが加速した格好となった。

 

17日の衆院予算委員会で発言した黒田日銀総裁は、現状のインフレによって輸入物価が上昇していることを認めながらも、金融緩和の出口戦略について具体的な案を示さず、緩和を継続することが適切であることを強調している。

 

グローバル的にインフレ対応に追われる中、異次元緩和を続ける日銀の対応が、歴史的な円安を進めている。

 

18日、ニュージーランド統計局が発表した第3四半期の消費者物価指数(CPI)は前期比、前年比ともに市場予想を上回り、歴史的高水準を維持した。前年比の上昇率は7.2%と約30年ぶりの高水準付近に高止まりし、市場予想を大幅に上回った。

 

NZ準備銀行は昨年10月時点の過去最低の0.25%の政策金利から直近は3.50%まで引き上げており、インフレ抑制に向けた追加利上げを行う構えを示している。

 

ただ、金利をどこまで引き上げれば物価が落ち着くかは、誰にもわからないところがある。効果を発揮されるまでには時間を要し、予想することも難しい。世界的にインフレ率は高止まりとの見方もあるが、価格上昇の歯止めがいつかかるか分からない状態では、経済の底堅さを示している米ドル一強が当分続くのもやむを得ない状況とみられる。

 

18日、中国国家統計局が発表予定をしていた第3四半期の7-9月期の国内総生産(GDP)を延期した。中国税関総署も先週14日に予定していた9月の貿易統計の公表を見送っているが、同様に遅れの理由を説明していない。

 

今週16日から共産党大会が開催され、異例の3期目入りを目指す習近平国家主席に配慮し、公表を控えたのではないかとの憶測も出ている。いずれにせよ第3四半期の市場予測は3.5%前後で、年間成長率も3%台にとどまるとの見方が強い。中国政府が全人代で掲げた年間目標の5.5%前後は達成困難とみられる。

香港は米株高を受けハイテク株を筆頭に大幅反発

18日の香港市場は前日に米株高を受けて大幅反発し、前日比1.82%高と3日続伸した。前述した経済指標の延期報道を受け、市場の警戒感が高まり、一時マイナス圏まで下落する場面もみられたが引けにかけて大幅反発となった。

 

中国の李克強首相は17日、共産党大会で国内経済の改善が進んでいると述べるとともに、景気回復の持続を図る政策をより効果的に実施するよう関係当局に呼び掛けるなど前向きな意見もみられた。

 

特にハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比4.25%高とアウトパフォーム、スマホ部品の比亜迪電子(0285)は10.7%高、ラウドサービスの金蝶国際集団(0268)は10.4%高、医療サービス企業の阿里健康(0241)は9.4%高で引けた。

 

主要銘柄も全面高となり、自動車・電池メーカーの比亜迪(1211)は6.2%高、Eコマースのアリババ(9988)は3.8%高、テンセント(0700)は2.9%高、フードデリバリーの美団(3690)は2.8%高で引けた。

 

一方、中国本土株は上海総合指数は前日比0.13%安の3,080.96、CSI300指数は同0.21%安の3,838.27と3日ぶりに反落した。前日終値を挟んだ一進一退の展開が続き、引けにかけて売りに押された。

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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