「時は金なり」…人を悩ます時間との闘い
「時は金なりと心得よ」アメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンが、こんなフレーズを自らのエッセイに書き残したのは1748年のことです。
フランクリンは、18世紀から世界に広まった“合理主義”を象徴する人物として知られ、時間の重要性を示す言葉をいくつも残しています。
「時間を浪費するな、人生は時間の積み重ねなのだから」
「時間を空費せず常に何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし」
その後、フランクリンの姿勢は時代の精神を代表するものとされ、19世紀には「時は金なり」が資本主義社会を代表するスローガンに変化。
時間を有効に使うことこそが最高の美徳であり、時間の無駄は神に背くも同然の悪徳だとみなす考え方が、世界のコンセンサスになりました。その志向はいまも根強く、現代でタイムマネジメントの重要性を疑う人はいないはずです。
しかし、アインシュタインも言うように「常識というものは、世間に信じられているほどの根拠をもたない」ものです。
時間術の世界においてもそれは同じで、世に伝わるタイムマネジメントの常識が、実際には明確な理由にもとづかないケースがいくつも見られます。どれだけ最新の時間術を学んでみても、根拠が間違っていたら意味がありません。
そこでまずは、世に出回るタイムマネジメントの考え方から、特に誰もが間違いやすい3つの真実を押さえておきましょう。
時間術に関する3つの真実
真実❶…時間術を駆使しても仕事のパフォーマンスはさほど上がらない
真実❷…時間の効率を気にするほど作業の効率は下がってしまう
真実❸…「時間をマネジメントする」という発想の根本に無理がある
とまどわれた方も多いでしょう。どの考え方も時間術における基本の基本であり、疑いようのない前提と思われているはずです。
ところが近年の研究に照らせば、いずれの考え方も大きな間違い。これらの誤りに囚われている限り、あなたはいつまでも時間がない状態から逃れることができません。くわしい理由を見ていきましょう。