現代人はコンテンツの読み込みを2秒しか待てない
「現代人は忍耐がない」とよく言われます。みなさんの中にも、昔に比べて厚い本を読み通せなくなったり、長い動画を観る気がわかなくなったりと、特定の活動に根気よく取り組む能力が下がった感覚をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
その認識はデータでも裏づけられており、マサチューセッツ大学などの研究では、670万人のネットユーザーを調査したところ、大半の被験者がコンテンツの読み込みを待てる時間はたった2秒でした。
MITによる調査も結論は似ており、現代人は平均40秒間しかコンピューターの画面に集中できず、1分も経たずにアプリを切り替えるか、他のコンテンツに移動してしまうと報告しました。
さらに怖いことに、デンマーク工科大学などが行った調査では、世界中で人間の注意力が下がりつつある可能性が指摘されています。
研究チームは、Googleブックスから過去100年間におよぶ書籍データを集め、さらにGoogleトレンドの記録も8年分ピックアップ。ひとつの話題が注目を集め続けられる時間を調べたところ、2013年はひとつのトレンドが平均17.5時間続いたのに対し、2016年には同じ数字が11.9時間まで低下していました。
効率や生産性と引き換えに忍耐を失った現代人
これらの現象について、多くの専門家は、効率や生産性にこだわる現代人のメンタリティを問題視します。バックネル大学の言語学者ハロルド・シュヴァイツァーの言葉を引きましょう。
「テクノロジーによる生産性の向上は、私たちを時間の主人にしてくれるはずだった。しかし、皮肉なことにテクノロジーは私たちを時間の奴隷にしてしまった」
技術が発達したおかげで作業の効率と生産性が上がったのはいいが、そのせいで現代人から忍耐力が失われ、私たちは少しの遅れにも耐えられない体になってしまったという指摘です。
この問題が私たちのためにならないことは、言うまでもありません。
いかにテクノロジーが発達しようが、人生に変化をもたらすようなスキルを身につけるには、相応の時間がかかるはずです。それなのに、目の前の作業から40秒ごとに注意がそれていたら、いつまでも大事は成せないでしょう。
なんとも難しい問題ですが、ここでトロント大学などが推奨するのが「文学に触れる」という考え方です。