家族信託の手続きを自分でする際の注意点を解説
家族信託を利用する場合は、金融機関のサービスや専門知識がある程度必要な部分がある点に注意しましょう。
信託口口座がつくれない金融機関もある
信託口口座とは家族信託契約に基づき、受託者が信託財産である金銭を自身の固有財産と分別し管理する目的で利用できる預金口座です。
受託者が死亡した場合、差し押さえを受けた場合でも口座は凍結されないので安心です。しかし、信託口口座はどんな銀行でも扱っているわけではないため、利用したい銀行があるなら口座の有無をよく確認しましょう。
なお、家族信託では信託専用口座の利用も可能ですが、こちらはあくまで受託者の個人口座なので、口座凍結のリスクはあります。
専門知識を要する場合も
家族信託を利用する場合、委託者の不動産資産を受託者へ所有権移転する必要があります。登記手続きの際には様々な提出書類(不動産登記簿謄本・固定資産評価証明書・戸籍謄本等)を準備します。
書類の不備があれば、もちろん手続きは進められません。受託者だけで作業をした場合、書類集めに慣れていないと、手続きの過程で予想外に手間を取る可能性があります。
家族信託を「自分でする場合」と「専門家に依頼する場合」の費用を比較
こちらでは、家族信託を自分で行う場合、弁護士・司法書士・行政書士に依頼した場合の費用相場を比較してみます。下表をご覧ください。
費用(目安) |
自分で作成 |
弁護士 |
司法書士 |
行政書士 |
コンサルティング |
‐ |
30万円~100万円 |
30万円~80万円 |
30万円~50万円 |
公正証書の諸手続き |
3万円~10万円程度 |
13万円~25万円 ※ 手続き代行費用含む |
13万円~25万円 ※ 手続き代行費用含む |
13万円~25万円 ※ 手続き代行費用含む |
不動産登記 |
登録免許税等を除けば0円 |
8万円~12万円 |
8万円~12万円 |
‐ |
合計 |
3万円~10万円 |
51万円~137万円 |
51万円~117万円 |
43万円~75万円 |
専門家に頼めば面倒な書類の収集や、窓口での手続きも任せられて大変便利です。なお、行政書士は士業専門家の中で費用が安いものの、登記を行う権限はありません。
その他、登録免許税の納付額、集める必要書類の枚数でも費用に大きな差が出てきます。
専門家に依頼する際のポイントとは?
弁護士・司法書士・行政書士は法律の専門職ですが、家族信託のコンサルティング・諸手続きの経験の無い方々もいます。まずは各事務所のホームページをチェックし、家族信託についての詳しい言及や実績が明記されていれば、家族信託に深い知識と経験のある方々とみて良いでしょう。
また、弁護士に家族信託を頼むと比較的費用は高くなる傾向があります。しかし、家族信託を進める内、財産の管理や処分について家族間で揉めそうだと不安な場合、前もって弁護士に依頼しておけば、家族間の紛争解決に対応してくれます。
家族関係でやや不安がある、管理財産がかなり多い等という事情に応じ、裁判まで対応可能な弁護士を選ぶか、最低限の手続きに対応できる行政書士を選ぶか、よく検討してみましょう。
株式会社サステナブルスタイル
後藤 光