ワンルーム投資は1戸1000万円が上限だった
■1戸目は銀座、2戸目は浜松町、3戸目は新宿……
1戸目の銀座の物件はワンルームというよりも1DKの、やや広めなコンパクトタイプでしたが、価格はワンルーム並みの好条件で、かつ、あこがれの銀座でしたので迷わずに決めました。
とはいえ初めて購入するマンションです。契約までに3回現地へ通うことになりました。マンションへ向かう途中、地図を見ながら頭の中でイメージを膨らませ、何ともいえないワクワクした気分はまるで子供が遠足に行くようなものでしょうか。
すでに夜9時を過ぎており、あたりはひっそりとしていました。きれいに整ったエントランスが間接照明に照らされ、幻想的に浮かび上がります。ここにはどんな人が住み、どんな環境なのか、どうしても聞かずにはいられず、ちょうど帰宅してきた人に尋ねました。「ここには変な人は住んでいませんか?」と唐突な質問をしてしまいました。冷静になって考えると、エントランスで待ち受ける自分のほうがよほど「不審者で“変な人物”だったな」と後で苦笑しました。
翌朝、再度管理人さんを訪ね、今度このマンションを買うつもりであることを話すと、掃除の手を休めてマンション内を案内してくれました。部屋には入れないものの、9階まで上がり、屋外階段から我が部屋を眺め、部屋の窓から見えるはずの街の景色を想像しました。決して自分がここに住むわけではありませんが、気持ちはすっかり明日から住む気分になっているのがおかしく感じたことを覚えています。
2戸目は浜松町。再開発が進む汐留にも近いエリアで、しかも山手線の内側です。しかし、一つ気になることがありました。それは、マンションの目の前にある塀に囲まれた広大な空き地には、いったい何ができるのだろうかということです。
「まさかこの前に高層ビルでも建つのだろうか?」
そんな疑問から空き地の中でまだ明かりが灯る事務所を訪ねました。ちょうどそこが区画整理事務所で、残業している人が親切に教えてくれました。この地域一体の再開発計画と環状2号線の建設計画が進行中とか。東京に住んでいながら、こんな大規模な再開発が進行していることを知りませんでした。
翌日この地域の「街づくり協議会」を訪ね、この街のコンセプトを聞く機会を持ちました。街全体をイタリアのイメージで統一し、「イタリア街」と名付けられていることも初めて知りました。東京都の〝しゃれた街並みづくり推進条例〟の指定で、街としての一体的開発構想も進んでいるということを聞き、我が部屋から眺める数年後に完成する“イタリア”の街並みに思いを馳せました。
これら再開発と我がマンションは道路を隔てて地域が異なるので別物ですが、この街づくりの一翼を自分が担っている気になっている点がおかしいと感じながらも、このマンションに惹かれていったことを思い出します。
住宅の都心回帰のトレンドの中で、都心オフィスへ通勤するのにとても便利で、この12年間、何度か退去者が出てもすぐに入居者が見つかりました。そんなことからも、ここの人気は高いように感じます。さすが港区です。
3戸目は新宿高層ビル群にも近く、摩天楼の夜景が眺められる物件です。
新宿の高層ビル群にほど近い一画ながら、表通りの喧騒と雑踏とは無縁の閑静な住宅街になっていました。マンションの周囲は西新宿や北新宿の再開発計画が進み、ブルドーザーが整地し、古い住宅の取り壊しが進んでいる光景がありました。この一帯は新宿高層ビル群のすぐ近くにありながら、どちらかというとそれまで開発から取り残されてきた地区で、再開発の完成後はさぞかしきれいな街に生まれ変わるのだろうと想像したものです。
入居者が住んでいるため室内には入れませんが、マンション8階の廊下から眺める“摩天楼”の夜景はすばらしく感動的でした。東京に住んでいても、ここは別世界のようです。大都会新宿の高層ビル群に住んでいる“非日常”の気分にひたりました。
飯田 勝啓
マンション管理士
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