(※画像はイメージです/PIXTA)

旧統一協会(世界平和統一家庭連合)のいわゆる「霊感商法」等の反社会的行為が注目を集めています。問題視されていることの一つに、宗教法人として税制優遇を受けていることが挙げられます。本記事では、宗教法人の税制メリットについて、主に法人税法上、どのような点が優遇されているのかを解説したうえで、霊感商法によって得られた利益に対し課税できないか検証を加えます。

宗教法人が課税される「収益事業」とは

宗教法人は非営利団体ですので、法人税は収益事業による所得にのみ課税され、かつ、その場合も軽減税率が適用されます。

 

これは、宗教団体の行為が基本的には営利を目的としていないこと、宗教団体が古くから自主的に公益事業を担ってきたという沿革によります。

 

収益事業は、【図表】で示した34種類の事業で、継続して事業場を設けて行われるものをさします。また、これらに付随する行為も含みます(法人税法施行令5条参照)。

 

法人税法施行令5条、参照
【図表】法人税の課税対象となる宗教法人の34の収益事業 法人税法施行令5条参照

 

たとえば、以下のようなものは、宗教的意義、あるいは公益性が濃厚であり、34の収益事業に含まれません。

 

・教義にのっとって結婚式、葬儀などの宗教儀式を行う

・収蔵品を資料館等に展示して観覧させる

・幼稚園を経営する

 

これに対し、以下のようなものは収益事業にあたります。

 

・所有する土地を駐車場として貸し出す(【図表】の「②不動産貸付業」)

・結婚式場を経営し披露宴で飲食物を提供する(【図表】の「⑭席貸業」「⑯飲食業」)

・宿坊を経営する(【図表】の「⑮旅館業」)※例外あり

・茶道、華道、書道等の教室を経営する(【図表】の「㉚技芸教授業」)

・書籍を出版する(【図表】の「⑫出版業」)

 

しかし、宗教法人の事業のなかには、収益事業なのかどうかの判断に迷うものもあります。

 

たとえば、以下のようなものです(国税庁「令和4年版 宗教法人の税務」参照)。

 

◆「お守り」「おみくじ」「絵馬」等の販売

【図表】の「①物品販売業」にあたるかが問題となります。

 

「お守り」「おみくじ」「絵馬」等は、その物の物質的価値がきわめて低いのに加え、購入する人はもっぱらそれに込められた宗教的意義を見出してお金を払っているとみなすことができます。

 

したがって、宗教団体の立場としては、対価を得て物を販売しているわけではなく、実質的に「喜捨」を募っているのと同視できるということで、収益事業にあたりません。また、参拝・参詣等の際に仏前・神前に捧げるための線香、ろうそく、花等を下賜することも、収益事業にはあたりません。

 

これに対し、単に一般に販売されているものを通常の価格で販売する場合には、収益事業にあたります。

 

◆墓地の地代

【図表】の「⑤不動産貸付業」にあたるかが問題となります。

 

墓地を信者に貸し付けて地代を得ることは、宗教的意義が濃厚ですので、収益事業にあたりません。

 

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