(※画像はイメージです/PIXTA)

学習障害、ADHDという言葉が近年急速に広まりました。学習障害と判断された子どもは「通級」とよばれるシステムを利用しながら学校生活を送ることになります。この耳慣れない「通級」という制度を紹介することで、なぜ学習障害、ADHDという言葉がわたしたちの耳にふれるようになったかについて解説していきます。

学習障害児が通う「通級」とは?

皆さん、「通級」をご存じでしょうか。

 

「通級」とは「通級指導教室」の略で、通常学級に在籍する子どもに個別指導を行うことです。一部特別な指導を必要とする子どもが、厚生労働省が定める、義務教育の教育課程とは異なる、各々の障害に応じた指導を受ける教室のことです。

 

基本的に、小・中学校の一般的な学級に在籍しており、普段はクラスメイトと一緒に授業を受けますが、通級指導教室に割り当てられる時間だけ、在籍する学級の授業を離れて「通級」のカリキュラムをこなします。いつも通っている学校に「通級」のクラスが設置されている場合もあれば、されていない場合もあり、その場合には別の学校に移動しなければなりません。

 

「通級」による指導の時間数は、年間35単位時間(週1単位時間)から年間280単位時間(週8単位時間)までが標準と示されています。

 

「通級」では、子どもの特徴に応じて指導内容が異なります。例えば、うまく発音できない音がある吃音や、理解できる言葉の数が少なく言語の発達がゆっくりである子どもを指導する「ことばの教室」。小さい音が聞き取れなかったり、聞き返しや聞き間違いの多い難聴児を指導する「きこえの教室」などがあります。

 

少人数のグループのクラスもあれば1対1で指導する場合もあります。普段は個別指導を行い、ときどき同じ特徴をもった子どもを集めてグループワークを行い学習効果を高める例も多くみられます。

「通級」と「特別支援教室」の違い

また、「通級」による指導の一つとして、東京都などで主に実施されている「特別支援教室」というシステムがあります。

 

通常の学級に在籍しながら週数回程度、特別指導を受けるところは一般的な「通級」と同じですが、前者との違いは、子どもたちが別の学校に移動をする負担がない点です。特別指導を行う担当教員が対象の子どもが在籍する学校を巡回することで、子どもがシームレスに通常学級と往来できるようサポートしています。

 

では、「通級」に通う「一部特別な指導を必要とする子ども」と、一般的な学級に在籍せずに「特別支援学級」(前述の「特別支援教室」と名称が類似しておりますが、別のシステムです)に通う子どもにはどういった違いがあるのでしょうか。

 

文部科学省ウェブサイトに掲載されている「特別支援学級及び通級指導に関する規定」では、以下のように記されています。

 

■「特別支援学級」に該当するこども

◎ 知的障害者

◎ 肢体不自由者
◎ 身体虚弱者
◎ 弱視者
◎ 難聴者
◎ その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの

 

■「通級」に該当するこども

◎ 言語障害者
◎ 自閉症者
◎ 情緒障害者
◎ 弱視者
◎ 難聴者
◎ 学習障害者

 

すなわち弱視者、難聴者のみ、どちらのシステムも選択することが可能です。知的障害者、肢体不自由者、身体虚弱者は「特別支援学級」のみ対象になります。一方、言語障害者、自閉症者、情緒障害者、学習障害者は「通級」のみ対象になります。

 

実はこの「通級」の対象に学習障害者が加わったのは、ほんのここ十数年のことです。

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