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移住者の皆さん、想定外の「狭すぎる家」に葛藤
これまでも何度かお伝えしてきたとおり、特別枠で永住権を得た人たちが、毎週オープンホームにやってきて、家探しをしています。
金利が上がり、物件は敷地も部屋も狭く、ニュージーランドらしい緑豊かな広い庭もなし…。この現実を目の当たりにした人は、みなさん葛藤している様子です。
とくにアジア人は、アパート(マンション)暮らしに慣れている方々が多く、欧米人でも、ロンドンやニューヨークをはじめとした大都市出身の方は集合住宅暮らしが多いと思います。
そんな人たちが、この南半球のオセアニア、ニュージーランドでの暮らしになにを求めているのか…。それは「広い庭の、大きな平屋一戸建て」での憧れの生活です。
しかし近年の主流は、タウンハウスと呼ばれる、2~3階建てで2~4ベットルームの細長い住宅。庭も猫の額ほどしかありません。いってしまえば、日本の建売住宅の戸建てとよく似ています。
ニュージーランドに来てまでこんな狭い家に住むのか…と、ガックリする方もいらっしゃるでしょうが、実際問題として、平均価格116万NZドルのオークランドでは、なかなか広い土地の物件は買えません。
では、広い物件を手にするにはどうすればいいのでしょうか? 田舎に行くしかありません。しかし、働き盛りはシティー中心から出るわけにいきません。
間をとって、ワイカト地方とオークランドの中間地点や、北ならばノースランドとオークランドの中間地点で暮らそうか? そうすれば少しは安いし、昨今であればテレワークで通勤が減り自宅勤務ができる…。このような悩みは30代、40~50歳の中年層によくみられるものです。
自宅の近所は学区もいいので、土地が高い。区画ギリギリの戸数でタウンハウスを建築したため家の間隔は狭く、車ひとつ出そうにも、隣家の車が出入りする時間と重なっては大変です。なにより、窓を開けるとすぐ向かいの家のベランダが広がる…。こんな条件の家でも、日本円で1億円を超えるのです。
筆者からすれば、少し不便でもいいから、すぐには隣が見えない戸建てがいい…と思ってしまいます。しかし、そんな狭い家でも、完成すればきちんと売れて、誰かが生活を開始しています。
せめて半額くらいなら、通勤・学区のことを考えてここで暮らそうか…という気持ちにもなりますが、通勤などのしがらみがなければ、1億円も出したうえで、隣のベランダが鼻先にあるなど、正直なところ勘弁です。
「一生の家」と意気込まず、節目ごとの柔軟な対応を
このように、オークランドの住宅が小刻みに区画されていくことが本当に残念でなりません。
しかし同時に、開発会社側・投資家側の「1戸でも多く建設して利益を上げたい」という気持ちもよくわかるのです。せめて建物のデザインを工夫して、入居者のみなさんには少しでも快適な都会生活を過ごしてほしい、という思いもあります。
なにが正解なのか、本当に迷うところです。
ただ、業界のプロとしてひとつアドバイスするのであれば「一生の家を探す」という感覚は捨てることです。
いまの生活レベルに必要なもの、買えるものを買う。時間が経過して、ライフスタイルや重視する条件が変われば、引っ越しをして、家も買い替える。これも楽しい人生の1ページだと思います。
言うのは簡単ですが、実行するには勇気がいります。しかし、「住む家」と「投資物件」の両方を持っていれば、老後の安定も見込めるので、そんなライフプランも夢ではありません。
余裕のある方は、値下がりによってお手頃な価格で物件が買えるいまのタイミングを活用し、自分の将来を託せる物件を探すというのも賢い選択肢ではないでしょうか。
資金がギリギリの方は、まずは1ベッドルームでも家を買い、オークランドが駄目なら隣町で買い、それも難しければ地方への移動も視野にいれてみてください。新たな土地で、これまでになかった幸せや楽しみが見つかるかもしれません。
住宅のプライスダウンはいいチャンスです。週末のオープンホーム巡りでしっかり家を吟味し、検討してみてください。サマータイム開始で、夜のオープンホームも始まっています。
売る立場からすれば喜ばしい事態ではないでしょうが、中古でもきれいに整え、誰が見ても「住みたい!」と思う物件になっていれば、オープンホームの開催で人気が出て、競り合いによって高値が付きます。
新築物件であれば、内装の仕上げをいま一度チェックしてみましょう。ペンキのシミはついていませんか? 床が傾いたりしていませんか? 買い手は細かいところも見ています。スイッチカバーが平行ではない、窓の開け閉め金具が固い…などなど。
レンタル家具を入れて綺麗に見せても、雑な釘打ち1本が家の価値を落とします。しっかりと整備し、家の価値を磨きましょう!
一色 良子
ニュージーランド在住不動産エージェント
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