「筋トレの第2の変化」は力の変化
■懸垂の壁
とりあえず、あなたの現時点での筋力と体重の過不足を見るいちばん簡単な方法がある。ジムもトレーニングギアもバーベルも要らない。どこか近くの公園に行って鉄棒にぶら下がって懸垂15をしてみることだ。海外では屋外でのトレーニング自体が「ストリート・ワークアウト」として確立している。鉄棒ひとつでも立派なトレーニングマシンになり得る。
中学・高校の体力測定を思い出してみよう。昭和の時代、高校生の男子なら、運動部でなくても、10回程度はなんとかこなせた。クラスに1割ほどはまったく上がらないヤツがいて、心のなかで「ガリ勉が、ざまぁねぇや」と笑って溜飲を下げた。ちなみに女子は斜め懸垂だった。
さて、私の場合はどうか。ランニング途中の公園でぶら下がってみた。動かない! ピクリとも動かない。還暦過ぎたお前が、10代の頃と比べる方が悪いというだろうが、いくらなんでも1回くらいできるだろうと思っていた。それどころか手に豆ができてぶら下がることすらできない。
で、まず体操の鉄棒用グローブを買った(どんなときでも道具に頼るから)。革製で指を通す穴と、手のヒラの部分に鉄棒を引っかけるための細い棒が組み込まれている。これなら握力不足もなんとかなりそうだ。鉄棒のとなりに懐かしい雲梯があったので、これでまず鉄棒に慣れてみるかと両手でぶら下がる。片手を離して体を振って次の手を……と、たちまち落下。どうやっても次の横棒がつかめないのだ。
ようやく気づいた。懸垂で大事なのは車でいうところのパワーウエイトレシオ。エンジン出力と車重の比率。つまり筋力より体重の軽さなのだ。
ちなみにトレーナー鈴木さんに訊いたところ、懸垂ができるためにはラットプルダウンなら体重マイナス10㎏。つまり私なら60㎏で10回を余裕で引けるようになると、なんとか懸垂ができる計算になるそうだ。
■ワタシは不審者か!
しかしこの公園懸垂。たまに問題も起こる。知り合いの若いバーテンダー君に私が鉄棒と格闘している姿を見られたようで「こないだ公園の近くを散歩していましたよね」と言われた。散歩じゃない! サポートタイツはいて散歩するヤツがどこにいる!
バーテンダー君、少々言いづらそうに続ける。
「でも城さん、公園って小さい子どもさんもいたりしますから……」
「なんのこと?」
「いや、不審者がいるって警察に通報されたりとか。……気をつけた方が」
鉄棒であがく私は不審者か! と怒ったふりをしつつ、以後、公園懸垂をするときはついあたりを見回してしまう。これがスッスと軽々と懸垂できりゃ誰も怪しい眼で私を見ないのになぁと、嘆かわしい。
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