長期計画は駄目、サラリーマンこそ短期合格を目指せ
■来年も勉強できる環境が続く保証はない
1回で合格するという強い意志を持ちましょう。結果的には複数回かかってもよいのですが、最初から複数年かけて合格できればよいという考えは捨てたほうがよいです。
例えば、1000時間の勉強時間が必要だという試験を受けるにあたり、1年間で1000時間勉強するのは大変なので、年間500時間の3年計画で受験すれば余裕をもって合格できるのではないかとは考えないでください。おそらく3回受けても合格する確率は低いからです。時間数だけがすべてではないですが、それよりは1000時間は無理でも、200時間上乗せして700時間勉強できるようにしましょう。
私自身の体験ですが、社労士試験を受験した際、初年度は3ヶ月、200時間程度勉強しただけで試しに受験しました。当然、不合格でしたが、その後、仕事が忙しいのを口実になかなか勉強を再開しませんでした。試験の8ヶ月前にようやく再開し、今度は600時間程度の勉強で試験に臨みましたが、あえなく不合格。ショックだったのは、初年度の3倍の時間をかけたにもかかわらず、1回目と点数が同じだったことです。
私の例のように集中せず学習を続けても得点は伸びないのです。
私は、中年のビジネスパーソンこそ資格試験に最短で合格できるようにしなければならないと考えています。それは次のような理由があるからです。
・リストラは待ってくれない
会社の人員削減計画は、突然始まります。
特に大企業では、黒字リストラといって業績がよいときほど、人員削減に着手する傾向があります。景気も回復してきたし、大丈夫だろうと安心した矢先にリストラが始まったりします。退職勧奨などを受けるととても勉強どころではなくなってしまいます。
・慣れない仕事への異動や転勤があるかもしれない
リストラほどのインパクトはないにせよ、会社員であれば異動や転勤がつきものです。慣れない仕事に就いたならば、当面はその仕事を覚えるのに神経をつかいますので、資格試験の勉強に集中する余裕はないでしょう。
・両親の介護などが必要になる
最近の高齢者は元気で、健康寿命が延びています。とはいえ、70歳を超えると病気にかかりやすくなります。認知症にかかる人も増え、70歳から74歳の総人口の3.6%が認知症と診断されています。両親のいずれかが介護状態になったりしますと、一人で世話するのはマンパワー的に難しくなり、子どものヘルプを必要となるようになります。
毎週、休みのたびに実家に通うような状況になると、勉強どころではなくなります。仕事が終わってから勉強するのは大変だと思いますが、来年になるともっと余裕がなくなる恐れがあるかもしれないのです。
■年齢が1つ上がるたびに転職では不利になる
昨今、採用で年齢による差別は禁止されています。しかしこれは建前であり、現実として転職で複数の候補者がいる場合、年齢が若いほど有利になります。
特に44歳と45歳、49歳と50歳などの年代の節目では、1歳しか違わなくても与える印象は、大きく異なります。
転職活動をしなくても、社内で異動を希望する際も同様です。まだまだ年功序列の考え方が残っている企業も多いので少しでも若い社員を使いたがる管理者はいるのです。
つまり資格試験合格をきっかけに転職や社内の異動を試みる場合、年齢が若いほうが有利になるのです。
■長期戦になると費用がかかる
毎年、試験を受けると費用もばかになりません。
私は、社会保険労務士試験を受けた際、スクールに通わず独学を選択しましたが、それは20万円というスクールの費用に躊躇したからでした。それでもテキストだけで勉強するのに限界を感じ、スクールの直前講座を選択したり、模擬試験を受けたりするなどトータルで60万円近い金額が発生しました。
最初からスクールに通って2回目で合格できれば、合格までにかかった費用は、半額で抑えられたでしょう。住宅ローンや教育費などでお金がかかる時期です。少ない費用で合格できるにこしたことはありません。