前回は、オーナー社長の節税ツールとして、生命保険のメリット・デメリットについて取り上げました。今回は、オーナー社長が「オペレーティングリース」を活用するメリットと留意点を見ていきます。

初年度に投資額の7〜8割を損金として計上可能

前回の続きです。

 

【オペレーティングリース】

生命保険と並んで代表的な節税商品に、匿名組合を利用したオペレーティングリースがあります。以前はレバレッジドリースといわれて、掛けた金額以上の償却が取れたのですが、現在は税制改正により掛けた金額までの償却金額となりました。それが名称変更の理由です。

 

こちらは、一般的には3000万円程度から投資できる商品です。減価償却を利用した節税の仕組みは、収益物件と同様と考えてください。航空機などを共同で購入し、購入金額を減価償却費として経費化することで節税(税の先送り)をします。

 

メリットは、一度で大きな金額を節税できることです。一般的には初年度に投資額の7〜8割が損金として計上できます。

現金化の面で大きな制約が・・・

デメリットは、生命保険と同じように原則は借り入れができないこと、益出しのタイミングをコントロールできないことが挙げられます。オペレーティングリースの場合、投資の期間が商品ごとにあらかじめ決定されていますので、好きなときに現金化することができません。

 

つまり資金が一定期間、固定化されてしまうわけですが、経営環境の変化によって、いつ現金が必要になるかわからないオーナー社長にとっては、決して小さくないデメリットではないでしょうか。益出しのタイミングは通常10年ほど先です。比較的長い期間キャッシュが寝てしまい、益出しのタイミングで大きな利益が出るため、その後の調整が難しくなるのです。

 

その他、為替変動リスク、リース物件の全損リスクなどもあります。また生命保険と同様、損益通算できるのは原則として法人の場合のみです。

 

【図表】オペレーティングリースのイメージ

本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス以降、景気は回復傾向を示していますが、利益を上げ続けるというのは簡単なことではありません。加えてオーナー社長を悩ませるのが増税です。 本書では、中小企業のオーナー社長に向けて、賃貸用アパート・マンシ…

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