不動産相続がもめる最大の原因!? 「均分相続制度」の概要

前回は、不動産の相続が「こじれる」根本的な原因について説明しました。今回は、不動産相続がもめる主因といえる「均分相続制度」について見ていきます。

不動産はもともと分割しにくい財産だが…

前回、税法上の規定によって問題が起こりやすいとお伝えしましたが、ここからは、不動産相続をこじらせる大きな原因と考える4つのことについて、話を進めていきます。

 

そもそも、なぜ不動産のような分割しにくいものを無理やり分割しなければならないのでしょうか。

 

「相続人が複数人いればそうするより仕方がない」――今の時代しか知らない人は、何の疑いもなくそうおっしゃると思います。しかし、実はこのような考え方になったのは均分相続という相続形態になってからなのです。

 

均分相続というのは、相続人が相続財産を均等にして分割する相続制度で、相続人の平等の権利を基礎として考えられています。

 

日本が均分相続制度になったのは、戦後間もなくの1948年のことです。アメリカ軍を主体とした連合国軍の指示や影響のもと、日本の法律が次々に改正されていきました。その中で、それまでの相続制度である家督相続制度が廃止となり、均分相続制度になったのです。

 

家督相続制度とは、戸籍上の家の長として、これまで戸主が持っていた地位と財産を、次に戸主となる者、つまり主に長男が単独ですべてを相続するというものです。

 

どれだけの人数の兄弟がいたとしても、基本的には長男が家督相続人となり、家の財産をすべて受け継ぎます。その代わり、すべてを受け継いだ家督相続人は、その財産と一族を守っていく大きな責任を伴うものとなっていました。

 

移り行く人々の意識や社会情勢からすれば、こういった独占的な相続である家督相続制度がよくないという判断は理解できます。しかし、均分相続制度に変更したことで、それまで以上に問題が多発するようになったとも言われているのです。

思い入れある実家を売却する事態にも!?

複数の相続人で平等に分けるという精神のもとでは、平等でない相続分を提案された人は不平不満を持ち、平等に相続する権利があることを主張するようになります。

 

例えば、相続財産が自宅しかない親の相続が起こったとします。子は長男と長女の2人です。同居していた長男は住むところが必要ですから、親の死後もその自宅をそのまま相続したいと思っています。しかし、長女はそれでは何も相続できないので平等ではない、と自分の権利を主張するようになります。

 

均分相続制度では、このような長女の考え方は何も間違ってはいません。結果として、思い入れのある実家を売却し、現金化して分割するといった事態が起こりうるのです。

 

平等に相続する権利を主張するかしないかは、相続人の人間性といった不確定要素の強いものに委ねられることになります。相続人が5人いれば、5人のうち誰か1人くらいは権利を主張してもおかしくありません。

 

相続人の誰もが経済的に安定していることなど稀でしょうから、少しでも財産を多くもらって生活を楽にさせたいと思う人も出てきます。権利を主張する人がいれば、その人のために分割方法を考えなければいけません。不動産であれば、場合によっては価値がなくなるような分割の仕方を選択することになります。

 

これから相続を迎える人は、均分相続制度というものによって引き起こされる問題や争いがあることを知っておく必要があります。特に不動産相続と均分相続制度は、相性がかなり悪いように思います。しかしその事情を知っておけば、事前の対策を講じる必要性も理解できますので、実際に行動に移しやすくなるはずです。

倉持会計事務所 所長

公認会計士・税理士。
東京生まれ。昭和46年慶応義塾大学経済学部卒業後、大手監査法人勤務。昭和57年倉持会計事務所開業。個人の資産家から一般企業まで幅広く税務・会計コンサルティングを行っている。特に相続対策・事業承継・財産形成については以前にも書籍を執筆するなど豊富な専門的知識と経験を生かしセミナーや相談会も積極的に行っている。相続のプロとして中立的な立場で「無理な節税」より「資産を守る」ことを重視するアドバイスで定評がある。

著者紹介

連載相続対策で「ワケあり不動産」が生まれる理由

本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『ワケあり不動産の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

ワケあり不動産の相続対策

ワケあり不動産の相続対策

倉持 公一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

ワケあり不動産を持っていると相続は必ずこじれる。 相続はその人が築いてきた財産を引き継ぐ手続きであり、その人の一生を精算する機会でもあります。 にもかかわらず、相続人同士が財産を奪い合うといったこじれた相続は後…

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