前回は、法人の不動産貸付事業のマネジメントに必要な経営指標を見てきました。今回は、個人事業主の所得税対策となる「青色申告特別控除」の概要を説明します。

青色申告特別控除とは何か?

マネジメントに取り組む中では、相続税に限らず、幅広く各種の税金についても総合的な対策(タックス・マネジメント)を行うことになります。

 

法人の場合には、触れたように多彩な法人税対策の手段があります。一方、個人事業の場合には、法人の場合とは異なり、所得税対策として行えることは限られています。

 

基本的には、以下に挙げるような青色申告の優遇制度の活用がメインの対策となるでしょう。

 

①青色申告特別控除

取引上の金銭の動きについて複式簿記の形で記帳している場合には、作成した貸借対照表を損益計算書とともに期限内に提出した確定申告書に添付することにより、最高で65万円が所得から無条件で控除されます。また、簡易な帳簿による記帳であっても、最高で10万円の控除の適用を受けることが可能です。

 

②損失の繰り越しと繰り戻し

事業が赤字になり純損失が生じた場合、損失額を、翌年以後3年間にわたって、順次各年分の所得金額から差し引くことが認められています。これを、「純損失の繰り越し」といいいます。

 

また、前年も青色申告をしている場合には、純損失の繰り越しに代えて、損失額を繰り戻して前年分の所得金額から控除し、前年分の所得税額の還付を受けることも可能です。これを、「純損失の繰り戻し」といいます。

必要経費の算入についても優遇措置あり

③青色事業専従者給与の必要経費算入

「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署に提出すれば、事業主と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族で、その事業に専ら従事している人に対する給与についても、その支払った金額を必要経費に算入することができます。

 

なお、青色申告の制度とは別に、事業主と生計を一にしていない親族に対する給与についても、その者が実際に仕事をしているのであれば、必要経費に算入することができます(その者がほかの会社などで働いていて別途給与を得ていても、必要経費にすることが可能です)。

 

これらの制度を使うか否かで、毎年の所得税の額は大きく変わってくるのです。

本連載は、2014年11月27日刊行の書籍『地主の相続財産は法人化で残す』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

地主の相続財産は法人化で残す

地主の相続財産は法人化で残す

小澤 豊,川本 泰正

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税をできるだけ節税したい、遺産分割で家族がもめてほしくない──。地主にとって相続は、頭の痛い問題です。 多くの地主の相続財産は、現金ではなく土地が大半のため、いざ相続になったときに預貯金だけでは相続税を支払…

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