新型コロナウイルスの流行やウクライナ侵攻、インフレなどの影響を受けて目まぐるしく変化する金融市場。このような激動の時代において、市場の動きを正確に予測することは不可能でしょう。ただ、こうした相場においても「資産運用で成功する人」には共通点があると、鎌倉投信の代表取締役社長である鎌田恭幸氏はいいます。賢明な投資家はどのよう情報をもとに戦略をたてているのか、みていきましょう。

異なるもの同士の融合による「新たな価値」の創造

この「技術革新」の潮流には次の2つの特徴があります。特定の企業や産業に留まらず幅広い産業分野に対して強い影響力を持つこと技術の根幹をなす思想を変える力を有することです。

 

1つ目の特徴についてのわかりやすい例は、ロボットでしょう。ロボットは、主に工業製品の製造過程や物流等で多く用いられてきましたが、もともとの高度な技術基盤に、情報通信技術、AI技術の発展が融合したことで、応用分野は、農業、医療、介護、レスキュー、土木・建設、小売り等と多岐に渡りました。

 

ソフトウェアの応用分野にも広がりを見せ始め、教育分野のほか、銀行融資や弁護士・会計士といった相応に知識と経験が必要とされる職種にも影響をおよぼしつつあります。

 

さらに、その延長線にあるのが、技術から生み出される提供価値の変化です。言葉を替えると、2つ目の特徴「技術の根幹をなす思想を変える力を有すること」です。

 

たとえば、アップルが自動車の生産に参入するという話題は、幾度となく出ては消えています。

 

実現には高いハードルがあるようですが、仮に実現するとなると、自動車は移動手段そのものに価値があるのではなく、自動車の利用者から得られる多種多様なデータにこそ価値があることになり、提供する技術と生み出される価値との関係性がガラリと変わることになるでしょう。

 

また、大手自動車メーカーは、ここ数年、立て続けに大手通信会社と業務提携等を進めています。

 

自動運転車が街中を走り、利用する電力は街全体で最適に管理され、生活のなかで当たり前のようにロボットやドローンが利用され、家庭ではセンサーを使って健康状態を把握して未病・予防に役立てるといった、スマートシティ構想が視野に入っているといわれています。

 

こうなると、自動車メーカーは、クルマをつくる技術を持ちながらも、もはやクルマをつくる会社と定義することは困難でしょう。

 

一見異なる事象を二項対立的に捉えるのではなく、何かの共通項を発見し、対立・矛盾を統合して高い次元に進めるなかからイノベーションは生まれます。こうした一見異なるものを融合させて新たな価値を創造する視点は、技術革新によってさまざまな産業分野で芽生えつつあります。

 

資本を投じてモノやサービスを生みだし、経済を拡大再生産させる仕組みを資本主義といいます。そして、人が欲する「価値の概念」と、それを生み出す「仕組み」が変わると、価値を生む元となる「資本の性質」も変わっていきます。

 

その3要素の大きな転換が産業革命です。デジタル革命によってもたらされる第四次産業革命については、2010年ごろから、しばしば見聞きするようになりましたが、いまはまさにその渦中です。

 

株式投資をする場合、どうしても目先の材料に一喜一憂しがちです。しかし、こうした混迷期だからこそ、底流で起きている大きな流れに目を向けたいものです。

 

 

鎌田 恭幸

鎌倉投信株式会社

代表取締役社長
 

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・「いい会社」を説明する際に、投資先企業を例にとりましたが、当該特定企業の発行する有価証券の購入を推奨するものではありません。

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