予見が「可能な未来」と「不可能な未来」の違い
新型コロナウィルスに加え、ロシアによるウクライナ侵攻、インフレによる海外の金利上昇など、ここ数年で金融市場を取り巻く環境は大きく変わり、先行きが見通せない状況が続いています。こうした状況になると、投資家からしばしばこうした質問を受けます。「株式市場はこれからどうなるのか」と。
仮に、そこで私が完璧な予想を示したとしましょう。しかし、残念ながら、その質問をした方は、その答えを聞いたとしても資産運用(投資)で成功することはないでしょう。なぜなら、資産運用で成功する人は、相場の先行きを予想して売り買いをしたり、投資商品の入替えをしたりすることとは無縁だからです。
成功する賢明な投資家は
①相場動向に左右されることなく、一貫している
②不安や楽観といった市場参加者の心理に流されることなく、自分の投資観(投資軸)を持っている
③市場動向に内包される基本的な法則や経済・社会の大きな流れを読む
といった共通点があります。
そもそも、経済や社会、地政学的なリスク、金融政策などが、グローバルに、かつ複雑に絡み合うVUCA時代は、株式市場の先行きを正確に予測することは、どんな専門家でも不可能でしょう。複雑に絡み合う前提条件の1つが変わると、直ちに結果は異なるものになるからです。そのため、賢明な投資家は、市場動向の予測に賭けません。
その一方、市場動向は予測できないものの、経済や社会がこれからどのような方向に向かうのかを予見することはある程度可能です。予見できる未来はあるのです。
たとえば、世界中で新型コロナウィルスが猛威を振い始めた2020年5月、マイクロソフトのCEOサティア・ナデラ氏は、次のようなことを述べていました。
ナデラ氏の見解については、まったくの同感です。こうしたことは、予見可能な未来といえるでしょう。DXを含めた「技術革新」と「異なるものの融合がもたらす新たな価値創造」は、私自身が、実際に仕事をしながら身近に感じている、これから数十年のうちに経済、社会を大きく変革する不可逆的な潮流です。
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