中国四川省が都市ロックダウンを全面解除も…世界の金融政策決定会合を控え、アジア株式市場は続落 (画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数18,565.97 pt (▲1.04%)
中国本土株指数3,778.77 pt (▲2.07%)
レッドチップ指数3,607.79 pt (▲0.88%)
売買代金910億4百万HK$(前日1,239億4万HK$)

米国FOMCを控えた様子見は暗号資産にも波及

今週は米国をはじめ日本や英国など世界の主要中銀が金融政策を決定する会合を控えている。もちろん最大の関心は、20~21両日に開催予定の米FOMCである。

 

金融市場は、今回のFOMC会合でも75bps幅 での利上げを織り込んでいる。一部ではインフレ圧力が強いことから100bpsという大幅利上げを予想する声もある。金融引き締めが長期化・大型化することは、景気後退のリスクが高まることに繋がる。米国経済は足元で底堅いものの、金融市場参加者はリスクを取りにくい環境が続く。

 

先週の米株式市場は金利敏感の高いナスダック100指数が週間で5.8%下げて、今年1月以来最悪のパフォーマンスとなった。

 

9月のFOMCで予想通りの結果だとしても、次回11月のFOMCでも利上げが見込まれ、金融引き締め局面が2023年後半まで続くとの見方が強まっている。金利が急速に大幅に上昇する中では、リスク資産にとっては上昇期待を持ちにくい。

 

19日は、日本・英国が休場となる中、株式市場は主要中銀の政策決定会合を前に、調整幅を拡大した。この動きはリスク資産である株式に限らず暗号資産にも波及した。ビットコインは2020年以来の安値に接近している。

香港・本土ともに米株安、人民元安に引きづられ下落

香港政府は、香港への入境者に対する隔離措置について、11月にも緩和する見通しを示した。制限緩和が成立すれば、低迷する香港経済のテコ入れ・下支えが予想される。この期待から航空株や小売り関連株には買いが入って反発した。

 

しかし、香港市場は世界景気の先行き不安や、中国経済指標の下振れ懸念が強まっており、ハンセン指数を押し上げるには十分ではなく、米株安を引き継ぐ形で、終日マイナス圏で推移して軟調なまま前日比1.04%で引けた。

 

終値ベースでは3月15日以来、半年ぶりの安値を更新した。ハンセン指数は年初来から20%強下げ、3月15日に付けた年初来安値(18,415.08pt)まで下げ、2016年2月12日安値(18,319.58pt)に迫った。

 

特にハイテク株で構成されるハンセンテック指数の下げがきつく前日比2.07%安と4月に付けた安値を割り込みハンセン指数同様に今年3月以来、約半年ぶりの安値となった。

 

新興EVメーカーのNIO(9866)は6.3%安、ソフトウエア開発の明源雲集団(0909)は6.2%安、動画配信のビリビリ(9626)は5.5%安、クラウドサービスの金蝶国際集団(0268)は5.1%安と下げが目立った。

 

中国本土株指数では、上海総合指数が前日比0.35%安の3,115.60、CSI300指数は同0.12%安の3,928.00と4日続落となった。上海総合指数は終値ベースで5月25日以来、4ヵ月ぶりの安値をつけ、特にインターネットやITハイテク関連が売りを浴びた。

 

人民元安も再び重荷となった。先週に続いて対ドルで下げ、1ドル=7.02元まで下落する局面があった。中国人民銀行は、人民元の中心レートを1ドル=6.9396元に設定して、元安防衛の姿勢を強めたが、実勢レートの下げには歯止めが効いていない。

 

19日、大手金融機関は中国の国内総生産(GDP)の成長率見通しを相次いで引き下げる動きが目立った。中には2022年の成長率を前年比3%割れまで下方修正する可能性が指摘され始めている。足元7-9月は、先週発表された8月の小売売上高と鉱工業生産、固定資産投資がいずれも市場予想を上回ったもの、不動産部門は投資・販売が減少し、住宅価格が下落するなど落ち込みが深まっている。見通しは厳しい。

 

内需の弱さを反映した結果は、中央銀行の更なる政策緩和余地を与える内容と捉えることもできるが、足元の急激な人民安は積極的な金融緩和は二の足を踏む可能性が高いと見られる。明日、発表予定の中国人民銀行の9月のローンプライムレート(LPR)も据え置き予想が大半である。

 

なお、中国四川省の成都市は19日から新型コロナのロックダウンを全面解除した。約2週間におよぶ行動規制が緩和されるが、経済活動や移動の制限などの防疫対策は来年3月の全人代まで何らかの形で残るとの見方が強い。中国政府が向こう数ヵ月で多くの緩和策を打ち出す可能性はあるものの、経済の勢いは弱っており、厳しい環境が続く。

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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    Wells Global Asset Management Limited, CEO 国際金融ストラテジスト <在香港>

    シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。

    2004年末に東京三菱銀行(現MUFG銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009年からは国際部門に異動しアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。

    その後、MUFG銀行を離れ、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence (限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。

    2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得し、最高経営責任者として、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。

    世界水準の投資機会や投資戦略、資産防衛に精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。(個人ブログ:HASEKENHK.com

    京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)、名古屋市生まれ

    著者紹介

    連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」

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