遺産の使い込みがわかったとき…まずは証拠集め
遺産の使い込みが発覚したとき、まず行うべきなのは証拠の確保です。証拠を押さえられるかどうかで、使われてしまった遺産を取り戻せるかどうかが大きく左右されます。訴訟になる可能性も高いので、早めに証拠をつかんでおくことが大切です。
亡くなった人が使っていた金融機関に照会をかけて取引履歴を取得する
まずは、被相続人が使っていた金融機関に照会をかけてみましょう。亡くなる前後の取引履歴を取得することで、使い込まれた時期や金額を特定できます。
金融機関に照会をかけるためには、自分が相続人であることを証明する必要があります。被相続人の亡くなった記載のある戸籍、自分と被相続人との関係がわかる戸籍を用意しておきましょう。戸籍は、本籍地のある市区町村役場で取得することが可能です。窓口に行けないときは、郵送でも取り寄せ可能です。
その他、請求者本人の印鑑証明書など、金融機関によって追加書類が必要になることもあるので事前に確認しましょう。必要書類が揃ったら、金融機関の窓口で手続きをします。
個人で調べることに限界を感じたら弁護士に調査を依頼
証拠集めがうまくいかない場合は、弁護士に調査を依頼しましょう。弁護士は、弁護士照会制度とよばれる調査手続きが特別に認められています。弁護士照会制度とは、所属する弁護士会経由で各種機関に対して照会を行う手続きのことです。そのため、個人で調査するよりも信頼性が高まります。
個人情報を保護するため、金融機関や保険会社によっては、求めている取引履歴をなかなか出してくれないところもあります。そんなとき、弁護士に調査を依頼すると、各種機関が情報の開示に応じる可能性は高くなるでしょう。
最終手段として、裁判所に調査してもらえることもある
裁判所が職権で財産調査をしてくれることもあります。裁判所は、判決を下すために必要な範囲で、自ら財産を調べることができます。たとえば、相続財産の範囲を確定するために遺産確認の訴えを起こした場合、裁判所自ら調査をしてくれることがあります。
弁護士に依頼したとしても、遺産を使い込んだ相手方の取引履歴まで取得することは困難です。しかし、裁判所が調査すると、弁護士でも調査することのできない詳しい証拠収集が可能となります。
ただし、これはあくまで最終手段です。いきなり裁判を起こすと、相続争いを引き起こす可能性が高くなり、家族との関係が険悪になる可能性が高まります。また、裁判には弁護士費用も含めて数十万円以上の費用がかかります。
まずは自分で調査し、限界を感じた場合は弁護士に相談してみましょう。それでも上手くいかない場合には、裁判を起こして職権調査をしてもらうという選択肢を検討できます。
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