※画像はイメージです/PIXTA

最近は、手数料の安さや金利が比較的高いなどの理由でネット銀行を利用する人が増加しています。それに伴い、相続が発生した際、被相続人から口座残高を相続できない事例も増えています。ネット銀行は通帳やキャッシュカードが発行されないこともしばしばあり、相続が発生したときに口座を発見できないのです。ネット銀行の相続についてみていきます。

ネット銀行の相続漏れリスクを回避する口座調査方法

ネット銀行に口座があるかどうかわからない場合でも、口座を発見し、相続漏れを防ぐ調査方法が3つあります。

 

口座があることを聞いておらず、遺言書やエンディングノートもなければ、ネット銀行口座があったかどうかわかりません。ネット銀行口座があると聞いていても、銀行名がわからなければ、相続の手続きはできないことになります。そんな場合でも、調査はできます。ネット銀行口座をきちんと調査し、相続漏れを防ぎましょう。

 

ネット銀行から届いていた郵便物や取引明細書がないか探す

ネット銀行から届いていた郵便物や取引明細書が見つかれば、銀行名や口座を特定できます。口座番号が不明でも、銀行名がわかれば、銀行に問い合わせた上で、相続手続きを進めることが可能です。

 

ネット銀行といえども、口座を開設するときや、重要な通知事項がある場合には、郵便物が届くことがあります。通帳はなくとも、キャッシュカードを発行してもらっている場合も。取引などを書いたメモ書きや口座を開設したネット銀行のパンフレットなどがあるかもしれません。

 

書類ファイルや金庫のようなものに入っていなくとも、タンスや引き出し、押し入れなどに保管している場合もあります。とにかく、家の中をよく探してみることが重要です。

 

故人のメールの受信ボックスやパソコンのフォルダーをチェック

故人のスマホやパソコンのメール受信ボックスをチェックし、ネット銀行からのメールがあるか確かめることが大切です。ネット銀行に口座があれば、取引や連絡事項についてのメールが送られてきます。パソコンのフォルダーに、ネット銀行との取引をまとめていることもありますから、フォルダーのチェックも忘れずに。

 

スマホのアプリを確かめることも重要です。ネット銀行を利用している場合は、スマホにその銀行のアプリをインストールしていることがあります。どんなアプリを使っていたか調べれば、銀行名が判明するわけです。ブラウザの「お気に入り」にネット銀行のサイトを登録していることもあります。スマホやパソコンの「お気に入り」も調べてみましょう。

 

ネット銀行以外の通帳の取引履歴から手掛かりとなる情報を得る

ネット銀行とは異なる銀行口座の通帳に、ネット銀行口座との取引履歴が記帳されていることがあります。故人が、自分の口座間で相互に送金している場合があるからです。取引履歴が記帳されていれば、ネット銀行名が判明します。銀行の通帳があれば、すべての通帳を記帳し、取引履歴をチェックしましょう。

 

故人がしばらく記帳していない場合、銀行によっては、ある期間の取引を合計して一括記帳することがあります。そのときは、銀行に、入出金についての明細書を発行してもらいましょう。明細書があれば、ネット銀行口座との間に振込があったかどうかわかります。少し手間がかかりますが、やってみる価値は十分あります。

次ページネット銀行の具体的な相続手続き方法

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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