中国本土市場は続落。金融緩和への期待感は低め
中国本土株指数は上海総合指数が前日比1.16%安の3,199.92、CSI300指数は同0.94%安と続落し冴えない動きとなった。
明日に控える8月の小売売上高や鉱工業生産など複数の経済指標の発表を控え、午後には様子見ムードが広がった。最近は、中国経済指標の下振れが続いており、今後の指標にも警戒感が高まった。
15日、中国人民銀行は中期貸出制度(MLF)の1年物金利を据え置いた。同銀は先月に1年物金利を10bps引き下げ2.75%としていたが、今回は据え置いた。このところ変動の激しい人民元相場だが、インフレ率が上昇する中、人民銀行が金融緩和に積極的でないとの見方が強い。
MLFを通じた供給額は4,000億元にとどまり、6,000億元の満期到来分を差し引くと2ヵ月連続で銀行システムから流動性を吸収した。
中国人民銀行は15日、人民元の中心レートを1ドル=6.9101元に設定、前日から小幅に元高/ドル安とするも、人民元は対ドルベースで一時6.98元台と節目の7.00元付近で推移するなど、足元の元安は歯止めが効かない状況が続く。
中国・香港市場は世界景気の先行き不安や、中国経済指標の下振れ懸念が強く、足元の内容を見極めたいムードが強くなっている。
今月7日に発表された8月の中国貿易統計が輸出、輸入ともに前月から大幅に縮小、9日に発表された8月の物価統計は消費者、生産者ともに前月比で下振れる内容となった。
内需の弱さを反映した結果は、中央銀行の更なる政策緩和余地を与える内容と捉えることもできるが、急激な人民安が続き積極的な金融緩和は二の足を踏む可能性があると考えられる。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>