「株の重要性が高まる」?これからの資産運用は…
それでは、この仕組債の問題点に関してお伝えしましょう。
仕組債は、株が上がった時のリターンはX%と上限が決まっています。そして下落した時には株で戻ってきますが、その時点での株はいくらになっているか不明です。半分になる可能性もあるし、10分の1になるかもしれません。つまりリターンは限られ、損失は無限大。冒頭で記述した高リスクミドルリターンとはこのことです。
ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の発言以来、株価が揺れ動いています。
宇宙旅行ビジネスをおこなうヴァージンギャラクティック(ティッカーコードSPCE)は株価が10分の1(55→5)になっており、上記で説明したノックイン価格を下回り、投資元本が10分の1になったという話が漏れ聞こえてきています。
1000万円が約1年で100万になるわけで、なかなか厳しい状況です。仕組債に投資する時に良く言われるフレーズは『最悪、株になってもイイや』というものですが、実際1年前に100だった株が、10と言う価格(買値)で株になってしまったら、それが手元に来ても全く嬉しくありません。超長期の塩漬けも覚悟せざるを得ない状況です。
金融リテラシーについての教育が広まってきていますが、こういった仕組債については、投資の専門家や法人の運用商品として、商品のリスクリターンを十分に理解された方が適正な手数料の元で投資する商品となるものと思います。
欧米発のインフレが日本にもそろそろ上陸するでしょうし、長い目でみればインフレ対策資産として株の重要性が高まることは間違いありません。
であれば、金融リテラシーのレベルに応じて、個別株、ETF、投資信託、そしてプロ向けなベテラン投資家などは仕組債など、それぞれに適合した商品に投資するようになる時代がもう少しで来ると考えています。
江幡 吉昭
株式会社アレース・ファミリーオフィス 代表取締役
一般社団法人相続終活専門協会 理事