「介護施設に親を入れる後ろめたさ」軽減のために…
理屈の上では、介護保険料を負担しているのでもっとドライに考えてもいいのですが、なかなかそうはなれません。
だから、介護施設に親を入れるとなると後ろめたさがじわじわ湧いてくる。現実に目を向けたくないために、面会に行かなくなっていく。介護施設にいる親が亡くなったときにホッとする。そうなるのだと思います。
そうやって対話のないまま、そのときを迎えるのは良くありません。なんとか相互理解と合意の機会を持ちたいものです。
そういったプロセスを経ているかいないかで、心の持ちようは大きく変わります。
最終的に施設にお願いすることになっても、能動的に働きかけて関与したというプロセスを経てそこに至るのと、何も合意形成がないまま施設に入所になるのとでは、子ども自身の罪の意識は大きく違ってきます。
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川口 雅裕
NPO法人「老いの工学研究所」理事長。 1964年生。京都大学教育学部卒。 株式会社リクルートコスモス(現株式会社コスモスイニシア)で、組織人事および広報を担当。 退社後、組織人事コンサルタントを経て、2010年より高齢社会に関する研究活動を開始。約1万6千人に上る会員を持つ「老いの工学研究所」でアンケート調査や、インタビューなどのフィールドワークを実施。高齢期の暮らしに関する講演やセミナー講師のほか、様々なメディアで連載・寄稿を行っている。 著書に、「だから社員が育たない」(労働調査会)、「速習!看護管理者のためのフレームワーク思考53」(メディカ出版)、「実践!看護フレームワーク思考 BASIC20」(メディカ出版)、「顧客満足はなぜ実現しないのか」(JDC出版)、「なりたい老人になろう~65歳からの楽しい年のとり方」(Kindle版)がある。