前月比74ポイント(6.2%)以上上昇
ベトナムVN指数は、第1、2四半期に低下した後、第3四半期前半に回復の兆しを見せた。
先月は前月比74ポイント(6.2%)以上の上昇となり、目覚ましい躍進を遂げた。
ベトナムの金融サイト「cafef.vn」は、「StockQ.org」(独自のデータチャートで世界市場のインデックスをリアルタイムに無料で提供する中国のサイト)の統計を引用して、「ベトナムVN指数が8月に世界の株式市場の中でトップクラスのパフォーマンスを記録したのは、ベトナムにおける力強い回復力のおかげだ」と述べている。
同指数のパフォーマンスは、マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイといった地域のほとんどの市場を上回り、またこれらの市場の成長率は0.5~4.3%の範囲だった。しかし、8月に6.9%上昇したフィリピンのベンチマークにはわずかに遅れをとっている。
ホーチミン証券取引所(HoSE)の時価総額も、先月は300兆ドン(約13兆米ドル)増加し、3取引所の平均売買代金は18兆5000億ドンに到達。前月比34%増となった。
投資家サービス「Algo Platform」のデータによると、ベンチマークであるベトナムVN指数は先月1,280.51ポイントで終了し、その株価収益率(PER)は13.67倍と7月末の12.95倍となった。魅力的なバリュエーションは、底値圏のキャッシュフローを市場に誘引する要因の一つとなった。
先月の資金流入は、小売、証券、化学、石油・ガス、建設資材など多くの業種で循環し、市場の上昇を支えた。
「VNダイレクト・セキュリティーズ」(投資銀行業務及び仲介サービスを提供するベトナムを拠点とする会社)によると、「米国やベトナムのインフレが緩和されたこと」、「米連邦準備制度理事会(FRB)が今年最終四半期に利上げを減速させるとの予想で国内市場の心理が改善したこと」、「投機資金流入」などの出来事が、指数の反発を後押ししたという。
流動性も大きく回復し、8月のHoSEの平均売買代金は1セッションあたり15兆8,000億ドン近くとなり、前月比36%増となった。流動性は全セクターで回復した。
今後のシナリオ。長期投資家が感じる魅力
しかし、流動性の回復と新規投資家の獲得は一致しなかった。7月の新規口座数は19万8,988口にとどまり、6月に記録したものから57%減少した。これは、昨年11月以来の低水準でもある。
外国人投資家の活動も、7月の売り越し後、より積極的なものとなった。先月の外国人投資家の売買代金は45兆4,600億ドン(約23兆3,000億米ドル)で、そのうち買いは22兆2,900億ドン(約23兆米ドル)、売りは22兆3,000億ドン(約23兆米ドル)であった。したがって、外国人投資家の純購入額は9,800億ドンで、2022年に入ってからの月間最低額となった。
ベトナムの投資家向けサイト「VNDIRECT 」(日本語版サイトあり)は、「現在の市場評価は、高い利益成長率を持つ企業を求めている長期投資家にとって非常に魅力的である」と述べている。
また、証券会社は「2022年から2024年にかけての一株当たり利益(EPS)の力強い成長により、ベトナムの株式市場は、同国のこれまでや他地域の市場よりも魅力がある」と話す。
ベトナムは、2022年の予想PERが12.2倍、2023年の予想PERが10.4倍と、過去5年間の平均PERを大きく下回り、各新興国の中でも明るい話題として取り上げられている。市場の背景は改善されつつあり、第4四半期と2023年にポートフォリオを構築する投資家にとって、この補正が払い出しの機会を生み出しているのだ。
一方、ベトナム海上商業ジョイン株式銀行(MBS)によると、「市場は世界市場の調整の影響を受ける可能性が高い。しかし、多様なキャッシュフローのおかげですぐに回復する可能性がある」という。つまり、下落はポートフォリオ再構築のチャンスになることが予想される。
過去10年のデータでは、9月は常にプラス成長を記録している。このため、国内株式市場は世界的なマイナス基調とは異なる方向に動く可能性がある。
強気なシナリオでは、ベトナムVN指数が1,300ポイントに戻れば、資金流入が増加し、7月のピーク1,315ポイントを突破、1,350ポイント水準へ向かうだろう。しかし、基本的なシナリオでは、指数は横ばいで推移し、1,280〜1,305ポイント付近で推移することになると予想される。