ビットコインが資産の保存に適してると言える理由
山本 お金の三つ目の役割の「価値の保存手段」についてもお話ししていきましょう。価値の保存手段とは、当たり前のことのようですが、お金の価値はそうそう変わらないので銀行に預けたり金庫にしまったりして貯めておける手段であるというわけですね。
ジェリー 暗号資産がビットコインしかなかった時代には、ビットコインは「交換・取引手段」としての役割が主でした。
しかし、手数料が上がったり交換により適している暗号資産が登場したりしたことで、今ではビットコインは「価値の保存手段」としてしか考えられないという人が多いのです。
そのため、ビットコインを金(きん)のデジタル版、「デジタルゴールド」として説明することがよくあります。
実は現在の世界において、いい「価値の保存手段」があまりないんです。日本円でも米ドルでもユーロでも銀行口座に預金して保存するのが普通ですよね。利息がゼロに極めて近いですし、最近はインフレーションが進んでいますし、自分が円やドルを持つだけでは自分の資産の価値が減っていくだけです。
フィアット通貨(法定通貨)以外では、金や銀、石油などもありますが、金は物理的に重くて盗難のリスクもあって管理もしづらい。
金の上場投資信託(ETF)のようなものもありますが、手数料や管理コスト(そして先物型の上場投資信託の場合は先物の買い替えコスト)が発生してしまいます。
こういう状況の中で、ビットコインという手段はどうですか、ということです。今はボラティリティが高く不安定な部分もあるのですが、だんだんと安定していくはずです。
山本 たしかに、ビットコインなどの暗号資産について、不安定なイメージを持っている人も多いかもしれません。ただ、実際に安定してきていて、これからも安定していくと見られていますね。
ジェリー その理由の一つには「リンディ効果」が挙げられます。長く存在したり使われたりしているものは、評判や信頼性が上がり、引き続き長く存続しやすいという効果のことです。例えば、「100年の歴史を持つ会社は去年できた会社よりは信頼できる」ことが言えるように、ビットコインは13年間ほど存続しているので明日すぐになくなることはない、ということです。
加えて、実際にビットコインのブロックチェーン自体へのハッキングが成功したことが一度もないというのも信頼性を上げている要因かと思います。
そして、ビットコインの時価総額が上がれば上がるほど、流動性も良くなり、大きい取引でも価格が左右されにくくなります。
低リスクで利回りが高いステーブルコイン
また、安定性を求めるなら、ステーブルコイン(安定した価格を実現するように設計された暗号資産、例えば米ドル連動の暗号資産)もあります。米ドルや日本円よりステーブルコインのほうが利回りが高く(5~20%)、インフレを上回る利回りをほぼリスクなしにもらえるので、その点も法定通貨より魅力的でしょう。
今は頑張って日本円や米ドルの定期預金を探しても利回りがゼロに近いので、どうしてもインフレに負けてしまうような状況です。