(※写真はイメージです/PIXTA)

アメリカの18~29歳の男性の43%が暗号資産を利用したことがある、という調査結果が出ています。暗号資産に関して何かしら耳にしたことがあるという人は、アメリカの成人男性の8割を超えています。今まさに、1980~1990年代におとずれたインターネット黎明期のように、暗号資産とそれを下支えするブロックチェーンが黎明期を迎えています。Google Japanなどを経て、現在はプロ野球のパ・リーグをデジタル技術等で支援するパシフィックリーグマーケティング株式会社のテクノロジーアドバイザーを務める山本康正氏と、バークレイズ・キャピタル証券、Google Japanなどを経て、データサイエンティストとして活躍するジェリー・チー氏が、ソクラテス式対話のように問いと答えを繰り返しながら現代経済への認識を深めていく著書『お金の未来』(講談社現代新書)で解説しています。

30年間コンスタントに不景気に見舞われてきた日本

山本 アメリカは新しいものに対して物怖(ものお)じしない人が多い一方、日本は保守的ですよね。金融庁が海外と比較して過剰に監督して何かあればすぐに処分するようなことになっています。ある意味で日本国民は守られすぎているのかもしれません。

 

歴史的には日本にとって1990年代初めのバブル崩壊が大きかったですよね。さらには2000年代のITバブル崩壊やリーマンショックやその他の不景気などで非常に痛い目にあって疲弊してしまった感があります。

 

ジェリー そうした負の出来事が重なってしまった結果、株や投資に対して怖い印象を持つ人が多いように思います。だから暗号資産についても、また良くない思いをしてしまうのかもしれない、と手を出せない人もいるのでしょうね。

 

アメリカでは対照的に、金融知識ゼロでも「確定拠出年金(401K)にみんなお金を預けているから私も預けよう」という人がたくさんいます。

 

山本 「これいいよ」と言われたら少額でとりあえずリスクを取ってやってみるというのはいいですよね。

 

ジェリー でも一般のアメリカ人はS&P500(大企業の株価指数)など比較的リスクの少ない商品に投資しています。S&P500はいきなりゼロになったりしないですし、長期的に見れば非常に高い確率で上がりますよね。

 

山本 知識があまりない人でも投資しているという話はローコード/ノーコードの話に似ていますよね。プログラムの知識がなくても開発できるということで、「SaaS」(Software as a Service:サース、サービスとしてのソフトウェア)の世界で話題になっていることです。ソースコードを書かずに、特定の商品の売り上げのデータをうまくグラフ化できたりします。

 

ジェリー 抽象化ということですよね。いろんなサービスや商品は結局、詳しい人は複雑なことをしていますが、一般の人にとっては簡単な説明を受けて最低限の知識だけで参加できることが大切です。

 

例えば、不動産購入でも本当は細かいリスクや仕組みがあるけれど、一般の人でも住宅ローンを組んで家を買うことができますよね。その際に不動産会社は日銀の金利政策がどうとか、すべては説明しないじゃないですか。

 

実際に私たちはそれをすべて理解していなくてもサービスを利用しているということですよね。

 

 

山本 康正

パシフィックリーグマーケティング株式会社 テクノロジーアドバイザー

 

ジェリー・チー

データサイエンティスト

 

本連載は、山本康正氏、ジェリー・チー氏の共著『お金の未来』(講談社現代新書)から一部を抜粋し、再構成したものです。

お金の未来

お金の未来

山本 康正 ジェリー・チー

講談社

いまお金とは何か? 暮らしや国家、銀行は一体どう変わるのか? 激変するお金と新しい世界――ビットコイン、ブロックチェーン、NFT、Web3…お金とテクノロジーのプロが語り尽くす〈一番わかりやすいお金の入門書〉 「…

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