香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
免税店の中国旅游が香港に上場で、上海と重複上場に
中国の免税店運営会社、中国旅遊(601888.SH)は19日、香港市場への上場で約21億米ドル(162億香港ドル)を調達すると報じた。
同社は上海証券取引所の重複上場となり、今年の香港上場で最大規模となる予定。同社は1億280万株を1株あたり158香港ドルで発行する予定であり、25日上場予定。銘柄コードは「1880.HK」に決定した。
発行価格は上海証券取引所の昨日の終値から約28%下回る水準。同社が中国国内観光に力を入れている海南島(海南省)三亜市で新型コロナの感染者が急増し、株価は今年に入ってから14%下落している。
今回のIPOの規模は前月7月13日に香港取引所に上場した中国のリチウムメーカーの天斉リチウム(9696)以来となり、同社が調達した約17億米ドル(約135億香港ドル)を上回る見通し。
香港のIPO実績は、年初来で22件、調達額は計23億米ドルにとどまり、2003年以降で最低となっている。前年に調達した計567億米ドルに比較すると、大幅に規模が縮小したが、中国企業のIPO意向は根強いものがあり、香港取引所は今後、積極的な新規企業の上場を促す方針を17日の決算発表で示した。年後半のIPO市場の活性化には期待したい。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」