経済低迷の病根は「まったく新しいもの」への恐怖
成毛:すると、今の世代は負けていても、次の世代で勝てるかもしれない。
ひろ:ただ、ある程度隔絶されていないと成立しないかもですね。浮世絵って、鎖国していて外国の文化がほとんど入ってこない状況だったから独自の進化を遂げた。今は、なまじ西洋の文化が見えちゃう時代なので。
成毛:さすが、ひろゆきさん。一発で論破されちゃった(笑)。確かに「隔絶していないと成立しない」というのはいえていますね。
ひろ:例えば、アフリカなんかでは固定電話の回線が整っていないし、パソコンが先進国みたいに普及していない。でも、安いスマホは多くの人が持っているってことで、モバイル決済やモバイルバンキングが世界に先駆けて普及しましたよね。これもリープフロッグのひとつですが、日本はこうしたインフラもある程度、すでに整っているんですよね。
成毛:そうですね。僕は、まだガラケーを使っていた時代にベトナムを旅行したら、農家の人が普通に携帯電話を持っていて驚いたんですよ。でも、よく考えたら固定電話の回線が引かれていないから、そうなるのは当然だった。
ひろ:んで、日本はリープフロッグを起こしそうな先進的な技術も政治や行政が潰しちゃうんですよね。例えば、日本のラジコンヘリコプター業界って世界の先端を行っていた。その流れがあったので、ドローン技術でも世界を席巻することができたと思うんですよ。
でも、ドローンが出てくると危険だとかいろいろな理由をつけて法律で規制してしまった。結果的に日本のメーカーは壊滅的になりました。
成毛:確かに、規制の問題はありますね。
ひろ:日本は「まったく新しいもの」が出てきたときに「寄ってたかって潰す」国民性がありますよね。先進国でセグウェイが公道を走れない国って日本だけじゃないですか? なので、パーソナルモビリティが普及しているヨーロッパと比べるとビックリします。
日本では、昔と移動の方法が基本的に変わってないんですよ。車と自転車と徒歩。「昭和のままだな〜」と帰国するたびに思います。ということで、技術はあっても法律で規制するので、リープフロッグも起きづらいかなと。
成毛:そういう日本の特徴を示しているのが、ロケットの打ち上げで失敗したときですよ。あれは〝実験〞なんだから、失敗してナンボ。たくさん失敗して「どこが失敗するのか」をわかったほうが得なんです。10回失敗して課題を全部潰せたら、11回目からはバンバン飛ぶわけだから。
ひろ:「失敗を多くした人は、同じ失敗をしないから安全」というふうに考えられるんですけどね。まあ、日本にはない感覚ですけど。
成毛:ないですね。
ひろ:絶対に失敗しないコツは「何もしないこと」なので、結局、失敗もしていないけど、何もしていない人がトップになる。すると何も進まない。
成毛:そこに病根があるとしたら、この日本は10年や20年では変わらないでしょうね。日本はこのまま経済的にも昔のような勢いは取り戻せないと思っています。