ロシアは「権威」と「権力」の違いがわかっていない
ひろゆき(以下ひろ):ロシアがウクライナへ侵攻してから1ヵ月以上たちました(※)が、今のところロシア国内ではプーチン大統領の支持率は高いみたいです。しかし長期的に見ると内戦やクーデターが起きるんじゃないかなと思っています。
※対談時点
成毛 眞(以下成毛):僕もそう思います。西側の感覚でいうと、旧ソ連やロシアの指導者でマシだったのはゴルバチョフくらいでしょう。ロシアにはスターリンやフルシチョフ、エリツィン、プーチンなど変わった人が多い。なので、新生ロシアが誕生したとしても、そこを統治するのは不思議な人になると思います。
ひろ:ただ、その理由のひとつに国土が広すぎることがあると思うんですよ。国がデカすぎると官僚システムがうまくいかないじゃないですか。中国も似た部分はあると思いますけど。
成毛:ただ、中国は大昔から「科挙(高級官僚になる試験)」だったり、中央から地方へ「国吏」といわれる役人を派遣したり、それなりに広い国土を治めるシステムを持っていたじゃないですか。この科挙をパスした〝権威(相手が自分から認める力)〞のある役人が派遣されたことが大きい。ちなみに、今やっているNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』 の世界では、平清盛も源頼朝も権威をうまく使って政治をしているんですよ。
一方で、ロシアは〝権威〞ではなく〝権力(相手を威嚇や力などで強制的に従わせること)〞しか持っていない役人が地方にやって来ます。ロシアは、この「権威と権力の違い」が歴史的にないのかもしれない。だから、ウクライナの統治は難しいと思います。