アドバイスするなら「これから伸びそうな会社に入れ」
ひろゆき(以下ひろ):「AIやロボットの発展によって、消滅する仕事が続出する」と言われて久しいですが、最初は「10〜20年後に残る仕事」がテーマです。
成毛 眞(以下成毛):なかなか難しいですね。
ひろ:成毛さんはビジネスマンとして大成功を収めていますが、ご自身がうまくいった理由はなんだと思いますか? 僕も成毛さんも中央大学の出身ですが、同級生でいい仕事に就けなかった人も多いじゃないですか。
成毛:そうですね。こればっかりは「運」の要素が大きいでしょうね。割合にすると、9割くらいが運だと思います。
ひろ:日本マイクロソフトの社長も運でなったと(笑)。
成毛:だって、今のような未来を予想していませんでしたから。僕は就職活動を1ミリもしてないんですよ。新卒のときは、適当にアメリカ企業と合弁でつくられた自動車部品メーカーを選びましたから。
ひろ:そこからマイクロソフトへはどういう流れで?
成毛:僕はもともと出版社志望だったんです。でも、就活では学歴的に無理だと諦めて、自動車部品メーカーに就職しました。そんなとき、当時読んでいた『アスキー』というパソコン雑誌で編集者を募集していたんです。それで、入ったら次の日に「子会社の日本マイクロソフトに出向してくれ」と言われた。
ひろ:「アメリカ企業との合弁会社にいた」というスキルが買われたんですかね。
成毛:いや、編集経験がなかったからでしょうね(笑)。だからといってパソコンに詳しいわけではなく「マイクロソフトって何?」という状態。もちろん、今のような巨大企業ではなかったですから。
ひろ:でも、マイクロソフトはそこから急成長して、成毛さんも日本法人の社長まで出世したわけですよね。無能だと社長にはなれないですよ。
成毛:いやいや、ガンガン伸びている会社は、無能でもけっこう大丈夫なんです(笑)。だって、当初の日本法人の社長は、親会社のアスキーへの入社順でしたから。
ひろ:えっ「いつアスキーに入ったか」で、社長が決まってたんですか!
成毛:ええ。最初の頃の社長は、社員番号順ですよ。
ひろ:じゃあ、成毛さんが今の若い人にアドバイスをするとしたら、「これから伸びそうな会社に入れ」ですかね。
成毛:それ以外ないんじゃないですか。自分で起業するのも大変ですし。
ひろ:でも、今でこそマイクロソフトは超巨大企業ですけど、成毛さんが出向した当時は、「いい会社かどうか」を判断するのは難しかったですよね。
成毛:そうですね。当時のマイクロソフトは、ベーシック言語やタイピングのゲームを作っていた会社でしたから。
ひろ:でも、そんなマイクロソフトやアスキーに入ったのは、安定よりも「おもしろそう」という気持ちを優先したからですよね。
成毛:というより、編集者や物書きの道を諦められなかったからですね。未来がどうとか考えていたわけではありませんよ。
ひろ:それでも、希望していた出版社には入れなかった成毛さんが、それ以上の成功をつかみ、しかも今や作家としてベストセラーをガンガン出している。そう考えると、やっぱり運が大事なんですかね。
成毛:だからこそ、今回のテーマの「10〜20年後に残る仕事」も、「正直、わからない」が結論になります。予想なんてできませんよ。