先進国のなかでは経済成長率が低く、他国よりIT活用が遅れているといわれる日本。こうした現状について、日本のデジタル化を阻む要因として、巨大掲示板2ちゃんねる創始者かつ「論破王」として多様なメディアで活躍するひろゆき氏は「ある存在」を挙げます。はたしてその正体とは、また今後目指すべき「理想の日本像」とは……ひろゆき氏と元日本マイクロソフト社長の成毛眞氏が語ります。※本連載は、ひろゆき氏×成毛眞氏の著書『考えて生きる 合理性と好奇心を併せ持つ』(集英社)から一部を抜粋し、幻冬舎ゴールドオンライン編集部が本文を一部改変しております。
“リープフロッグ”を阻む日本の「治安のよさ」
ひろ:前回は「日本でデジタル化が進まない理由」でした。成毛さんによると、その要因のひとつは、コンビニでジャラジャラと小銭を使って支払う客だと......。
成毛:そうですね。電子マネーを使えば利便性がいいだけでなく、ポイント還元もついてくる。使わない理由はないはずなのに、それでも現金を使い続ける。そういう思考は「便利になったほうがいい」という欲求がないわけで、デジタル化を阻む原因になります。まあ、だからといって、すべてが悲観的だとは思っていませんけどね。
ひろ:というと?
成毛:もちろん、コンビニのレジで待たされるのは腹が立ちますよ(笑)。ただ、「リープフロッグ(一足跳び)」があると思っているんです。
中国で電子マネーが急激に進んだのは、紙幣の製造技術が低く、かつ治安が日本ほど良くないからでした。つまり、偽札が横行したり、高額紙幣を持ち歩くのが怖いという理由があった。そのため、スマホを使った決済が急速に広がった。
ひろ:「電子マネーにしないと怖くてしょうがない」という側面があったわけですね。
成毛:でも、日本では偽札をつかまされることはまずないし、数万円持ち歩いていても安全。電子マネーに進化する大きなきっかけがなかった。
ただ、次のタイミングで、中国のような現象が日本でも起きるんじゃないかと。現金から電子マネーに急速に変わったような僕らの想像を超えることが起こるんじゃないかと思っています。
ひろ:歴史的に見ても日本は「浮世絵」など世界でも珍しい文化をつくっちゃいましたからね。
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“元日本マイクロソフト社長”と“論破王”
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書評サイト「HONZ」
代表
1955年、北海道生まれ。中央大学商学部卒業後、自動車部品メーカー、アスキーなどを経て、1986年日本マイクロソフト設立と同時に参画。
1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年退社後、投資コンサルティング会社の株式会社インスパイア設立。
2010年、おすすめ本を紹介する書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。
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インフルエンサー
1976年生まれ。神奈川県出身。1999年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設。2005年、株式会社「ニワンゴ」取締役に就任し、「ニコニコ動画」を開設。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に就任。
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