(※写真はイメージです/PIXTA)

日本には膨大な数の株式会社が存在し、日々ビジネスを展開しています。株式会社という仕組みには様々なメリットがあり、個人レベルではとても行えない壮大な事業や、危険を伴う事業の実現も可能にするのです。どのような仕組みなのか、経済評論家の塚崎公義氏がわかりやすく解説します。

事業行うときは「株式会社」という仕組みが便利!

株式会社は、会社を作るときに金を出した人に「株券」を渡して「株主」になってもらい、出してもらった資金を使って事業を営み、儲けを株主に渡す、という仕組みです。

 

筆者が1人で金を出してパン屋を作るとすると、仕入れも売り上げも儲けもすべて筆者のものなので簡単ですが、友人たちと金を出し合ってパン屋を作るとすると、面倒なことが起こります。

 

パンの仕入れ量を決めたり販売価格を決めたりするのも、全員で相談しなければなりません。加えて、パンを仕入れるたびに金を出し合い、売れるたびに売上金を分け合う必要があるからです。

 

それは面倒なので、株式会社を作って株式会社がパンを仕入れて売って利益を稼ぎ、その利益を分配する、という仕組みを作るわけです。

株券には、大事なことが3つ書いてある

会社を作る費用を出してくれた人に渡す株券には、大事なことが3つ書いてあります。

 

(1)会社が儲かったら、一株あたり何円という計算をして、利益を山分けする。山分けのことを「配当」と呼ぶ。

 

(2)会社が解散するときには、持っている物を全部売って、借金を全部返して、残りを一株あたり何円という計算をして、株主で山分けする。

 

(3)社長の選挙では、1株あたり1票の投票権がある。

 

多く資金を出した人は多くの株券を受け取れるので、利益が出たときは多くの配当がもらえますし、社長の選挙でも多くの票を持っているというわけです。

 

昔の株式会社は、危険な航海をして大儲けを狙う人が設立し、航海が成功すれば儲けを山分けして解散した、といったものが多かったようですので、(2)が重要だったのでしょう。

 

しかし、最近の株式会社の多くは、パン屋でも電力会社でも、会社の仕事を続けて利益を稼ぎ、毎年株主に配当する、といったことを目指す会社が多いので、(1)が重要というわけですね。

 

人々に馴染みがあるのは「上場企業の株を買って、値上がりしたら売って儲けよう」という投資かもしれませんが、上場していない多くの株式会社の場合には、値上がりしたら売るということが難しいので、毎年の配当を受け取ることがおもな目的となっているわけです。

 

ちなみに、株式を買う目的として、「会社の社長になるため」というものもあります。後継者不在で社長が会社を閉じようとしているときに、同業他社が社長の持っている株を買って自分が社長になって会社を続ける、といった場合です。

 

場合によっては、社長が辞めたくないのに、他の株主が株を買い集めて、社長の選挙で自分が社長になろうとする人が出てくる可能性もあるでしょう。会社の「乗っ取り」ですね。

 

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