(※写真はイメージです/PIXTA)

日本には膨大な数の株式会社が存在し、日々ビジネスを展開しています。株式会社という仕組みには様々なメリットがあり、個人レベルではとても行えない壮大な事業や、危険を伴う事業の実現も可能にするのです。どのような仕組みなのか、経済評論家の塚崎公義氏がわかりやすく解説します。

巨大な事業・危険な事業をするなら、株式会社が便利

株式会社という仕組みは、パン屋の場合も便利ですが、巨大な事業をする場合にはさらに便利です。たとえば発電所を作るためには巨額の費用が必要ですから、それを友人たちと出し合うのは無理でしょう。

 

しかし、株券を何百万枚も印刷して、大勢の人に買ってもらえば、巨額の費用を集めることができます。そこが株式会社の大変便利なところです。社長の知り合いでなくても、金儲けの好きな人が株券を買ってくれればいいわけですから。

 

もうひとつ、リスクの大きな事業を行う場合にも株式会社は便利です。筆者が全財産を使って会社を作るとして、「財産が5倍になるかゼロになるか、確率5割だ」といわれたら、尻込みしてしまいます。確率5割で破産するわけですから。

 

しかし、100人で資金を出し合うならば、筆者は100の財産のうち、1だけ出して株を買うことになります。そうなれば、筆者の財産は105に増えるか99に減るか、確率5割ということになるので、俄然資金を出したくなります(笑)。

「会社は人間ではないが、契約を結ぶことができる」

会社が店を借りる契約をしたり、事業から借金をしたりするとき、株主が全員で契約書に署名捺印しなければいけないとすると、大変面倒です。発電所を作る会社には何万人も株主がいるでしょうから、何とかする必要があります。

 

そこで「会社は人間ではないけれども、契約を結ぶことができる」と法律に決まっています。たとえば筆者が友人たちと塚崎パンという会社を作り、社長になった場合には、契約書に筆者が署名捺印するわけですが、その際には「塚崎パン株式会社社長 塚崎公義」と書いた上で、「塚崎パン株式会社の印」を押すわけです。

 

このとき、間違えても「塚崎公義」と書いて「塚崎」という印を押してはいけません。そうすると、その契約は会社の契約ではなく、筆者の契約ということになってしまうからです。

 

たとえば会社が事業から借金をする場合に後者の署名捺印をしてしまうと、事業が会社の金庫ではなく筆者の財布から返済するように迫ってくるでしょう。それは絶対避けたいですよね(笑)。

 

ちなみに、株主に渡す株券にも筆者が社長として前者の記名捺印をします。筆者が受け取る株券についても当然ながら同様です。

 

さらにいえば、筆者が会社に金を貸すときには、会社が借用証書を発行するわけですが、その内容は以下のようになります。

 

塚崎様

100万円借りました。

塚崎パン株式会社社長 塚崎公義 (塚崎パンの印)

 

 

今回は以上です。なお、本稿はわかりやすさを優先していますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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