決算期以外は利益がでているか把握してない企業が8割
受注があるといっても会社が儲かっているとは言い切れません。
工事が順調に進んでいたとしても一概に儲かっているとはいえず、どれだけ売上や受注があっても原価が上回れば赤字になります。
儲かっていると言い切れるのは、利益を確実に出せるよう実行予算の計画を立て、その予算内で工事を進めているときだけです。
原価管理を行わないのであれば、年に1度の決算期や税務申告の時期を迎えるまでは自社が儲かったかどうかを把握するのは不可能です。
自社が儲かっているかも分からない状態で会社経営を続けるのはとてもリスクが高いといえます。
本来、利益がなければ人を雇ったり機械を買ったりといった投資をすることは困難です。にもかかわらず、簡単にお金を使う建設会社が多過ぎるように感じます。
そうした会社の多くは金融機関の融資に頼っているのが実情で、融資が続けば経営を続けることはできますが、金融機関がいつまでも融資をしてくれるとは限りません。
特に赤字が続けば融資の条件が悪化し、最悪の場合は融資を打ち切られる可能性さえあります。
一方、多くはないと思われますが、原価管理をせずとも結果的に利益を出している会社もなかには存在します。
この場合もやはり原価管理を取り入れて業務改善すべきです。利益には納税がセットになってついてきます。
ということは、決算期末を迎える前に利益の見込みが立っていればさまざまな節税策を打てる可能性があります。工事の生産性をあげるために設備投資を行ったり社員の採用をしたりすることで、利益を圧縮して節税できるかもしれません。
そして設備投資や人材への投資は将来の利益を生む可能性がありますから、節税効果のみならずさらなる利益アップを見込める可能性もあります。
原価管理をしていれば、さらに儲けることができるということです。
現実には実行予算の計画を立てない建設会社は数多くあります。おそらくは全体の2割くらいの会社だけが実行予算を立てており、大半の建設会社はどんぶり勘定で経営を続けています。
計画を立てるだけで残り8割の建設会社よりも優位に立てるということです。
イノベーティブな技術開発や大きな工事の受注といった特別なことをしなくても、実行予算をしっかり立てれば確実に利益は増えます。
実際に私は「予算を立てる」というただそれだけの行動だけで利益率を改善した会社を数多く目にしてきました。まずは社員の「予算」への意識が大事なのです。