(※画像はイメージです/PIXTA)

近年、建設需要の増加により、業界は好景気の明るい見通しです。しかし、これが中小規模の建設会社にとって追い風になるかは疑問です。大手と中小間で利益格差が生じ、逆風に転じる可能性を十分に秘めているからです。原価管理システムの開発・提供をしている三國浩明氏が、生き残りをかけて、さまざまな見直し・改革が必要な建設会社に必須の「原価管理術」を解説します。

「原価管理」で利益を増大させることができる

建設会社が利益を増やすために行うべき最善の方法が「原価管理」です。

 

原価管理に決まった定義はありませんが、私は次のように説明をしています。

 

工事やプロジェクトにおいて原価を低減させることを目的に、原価を計画し実績と比較管理すること。

 

言葉だけでは難しく思われるかもしれませんが決して難しいものではなく、WHY(なぜ行うのか)とHOW(どのように行うのか)に分解すると分かりやすくなります。

 

WHY:原価を低減させるため→利益を増やすため

HOW:原価を計画し、計画と実績を比較する

 

業務効率化や資金繰りの安定など、原価管理にはさまざまなメリットがありますが第一目的は利益の上昇です。そして原価管理のためにやるべきことは「計画」と「比較」です。

 

実はたった2つのことだけをすれば原価管理の目的を果たすことができます。

 

それでも原価管理をこれまで行ってこなかった会社にとっては、ハードルが高く感じられるかもしれません。

 

あるいは、社長が原価管理を行いたくとも社内の人たちから納得を得られないケースもあると思います。

 

この問題をクリアするには、原価管理の目的が利益を増やすことにあるということを明確にし、共有する必要があります。

 

私の考えでは、会社の利益は会社にとっての“夢”を実現させるためのものです。その夢は会社によって、また社長の考えによって異なります。

 

例えば「後世に残る公共工事を受注できるような会社になりたい」「社員が安心して働ける会社になりたい」「地域にもっと貢献したい」など、会社としてのビジョンがなにかしらあるはずです。

 

どのようなビジョンであれ、利益がなくては実現させることができません。

 

大きな公共工事を受注したいのであれば入札に参加する必要がありますが、そのためには経営事項審査で一定の評価を得ることが必要です。

 

そして経営事項審査の良い評価を得るには会社の経営規模や技術力、社会性など複数の項目で高いレベルを維持しなくてはならず、また、継続的に高い利益を獲得する必要があります。

 

原価管理がおろそかで赤字続きの建設会社は、公共工事の入札に参加することさえ叶わないのです。

 

「なんのために利益を増やしたいのか」「なぜ原価管理を行うべきなのか」という根本的な目的を明確にすることが原価管理を成功させる秘訣です。

 

利益が上昇すれば会社の将来への可能性は広がり、社員の給料を増やすことで彼らの生活も豊かにすることができ、そして社員の家族や住む地域にも良い影響を及ぼしていけます。

 

会社の利益や会社の“夢”が社長一人のものではなく携わる社員全員のものであることが共有できれば、それを叶えるための原価管理に皆が納得して取り組めるようになるはずです。

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利益を生み出す建設業のための原価管理術

利益を生み出す建設業のための原価管理術

三國 浩明

幻冬舎メディアコンサルティング

大手電器メーカーのコンピューター販売部門に30年間務めるなかで、建設会社への原価管理システム供給の必要性と将来性を感じ、起業。業界導入実績ナンバーワンを記録した、原価管理システムを提供している著者が、長いキャリア…

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